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世界をめぐる、銀白の翼
第四章 RE:BIRTH
戦う君は 美しい
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でお前はそんな風に考えられるんだよ!!」


翼刀の言葉。
確かにそうだ。

彼が背負った業は、自分の物だけで考えてもあまりにも深く、重い。

だが、それでも乗り越えなければならない。
人は、前進しなければならないのだから。



「―――――不動ヨリ始マル」

「・・・? それは・・・・・」

「覚えてる?道場にあった言葉」

「・・・・思い出させるな・・・あの頃のことを思い返すと・・・・!!」

「失ったのが辛くても、思い出しなさい!!あなたの、鉄流に流れる教えでしょ!!」



動クコト、不動ヨリ始マル




それが彼の家に伝わる、鉄流の極意。
始めに不動在りとしてきたその真意。


何かを始める時は、まず最初に「動くな」
「進むな」「歩みを止めるな」ではない。

つまり、立ち止まって考えてみるということ。

決して思考と止めるな。歩み続けろ。
眼を覚まし続けていろ。



それは唯子の攻撃にも見える。
彼女の決めには、打ちこむものはない。

不動拳(パニッシャーパンチ)不動脚(パニッシャーキック)
全て不動から衝撃を叩き込むもの。



しかし、翼刀はどうだろうか。
立ち止まることを恐れ、考えることを拒絶してしまった。

動き続けて、すべてを忘れようとしている。



頭を覚ませ。
覚悟を決めろ。

歩み始めるのはそれからだ。



それすらせずに走り始めて、何が解決するというのか。
目的も何もなく動き始めて、一体何があるというのか。



たとえ曖昧な行き先であっても、自分の歩む足場くらいは思考せよ。





「それが基本よ。そして、その先に――――!!!」



綺堂唯子だって、どれだけ悩んだことだろう。
いつもは悩まぬ彼女が、どれだけの苦悩を経て、今の状態を作り出しているのか。


唯子が構える。


不動

そして、前進



「今から全力で行くわよ、翼刀」

「クッッ・・・・」

「あぁ、私相手だからって手を抜くと」

ドォッッ!!

「死ぬわよ」

「ッッ!?」

「命懸けで、全力で防ぎなさい!!翼刀!!」


―――――それが生きるってことでしょう!!!




唯子の全身から何かが噴き出す。
それは気力とも、オーラともいえるものだった。


鉄翼刀は感じ取る。
今の彼女から発せられるこれは、虚言の類では決してない。


避けるか?
いやダメだ。そんなことができる速度じゃないだろう。

捌くか?
いやダメだ。そんなことをしたら腕ごと上半身がえぐり取られる。

受け止めるか?

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