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世界をめぐる、銀白の翼
第四章 RE:BIRTH
輝かない翼
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き次第、次々とメンバーが「EARTH」から飛び出して行っている。



その中で、一人だけ姿を見せないものがいる。


「蒔風のやつはどこ行ってんだよ!!」

「今の彼はいつもと違う・・・一体どこに・・・・」



「EARTH」の中を、翔太郎とフィリップが駆けていた。
理由は明白。蒔風がいない。


リボルギャリー到着までの時間、彼らはビルの中を走り回っていた。




そして




「見つけた!!」

蒔風を見つけた。
コンピュータ室で四台のパソコンを使って、ものすごい勢いで情報の整理をしている。


「な、なにを・・・?」

「関係各所への通達。避難誘導経路の確保。避難所の提示。やることは多い」



翔太郎の言葉に、淡々と答える蒔風。
だが彼が聞いているのはそういうことじゃない。


「お前・・・戦いにはいかないのかよ!!」

「敵の前に立つことだけが戦いじゃないさ。俺はこっちだ」

「そうかもしれないが、お前は一番の戦力だろ!!」

「クラウドと変わらないさ」

「おま・・・・」


言い訳にも聞こえるような蒔風の言葉に、翔太郎がせかすように言葉を繋げていく。
しかし、そこでフィリップが待ったをかけた。


「翔太郎。ギャリーが到着した。急がなければ」

「ッ・・・・〜〜〜〜〜!!!絶対に来いよ!!絶対だぞ!!!」

《サイクロン!ジョーカー!!》




振り向くことのない蒔風の背後で、変身音が聞こえてきてWが去っていく。
だが、その場にフィリップの体が倒れ込んだ音がしない。



「本気でいかない気ですか」

「・・・・今度は・・・・・アリスか・・・・」


モニターから目をそらさずに言葉を発する蒔風。
その背後には、フィリップを支えるアリスが立っていた。


言及する。

「皆が戦いに行くというのに、あなただけこんなところにいる気ですか」

「うるさい。これだって必要なことだろ」

「しかし、あなたはもっと行くべきところが・・・・」

「そこに向かって、死ぬ思いをして来いと言うのか」


アリスの言葉を蒔風が遮る。
その声は、心なしか震えているようにも聞こえた。



「こんな形だけどな・・・・やっと、普通に戻れたんだ」


蒔風が言う。
蓋を外そうとすればできた。

だが、それは彼自身の喪失を意味する。
今まで戦ってきた、彼の意味が。


しかも、事件や戦いは終わりを見せない。
蓋は、外せなかったのだ。



「だけど外れた。今の俺は、戦うのが・・・・否、死ぬのが、何より怖い」

「立ち向かいなさい!!」


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