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世界をめぐる、銀白の翼
第四章 RE:BIRTH
be Put Down
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ってしまったのだ。

悔しい、という感情もある。
人はそれを嫉妬と呼ぶ。

自分では行きつけなかった彼の隣に、あれはあっさりと取り付けたのだから。



「あの!女!絶対に!ブチのめして!やるんだから!!」

ブチィッッ!!!


そうして何度打ち込んだのか。サンドバッグの鎖が切れ、天井ではなく向かいの壁に叩きつけられて破裂した。
ジャラジャラと鎖が揺れている。


「あ・・・・壊しちゃった・・・・・」

「派手にやってるね」

「・・・長岡さん」


そのトレーニングルームのカウンターから様子を眺めていた長岡が、テーピングと冷却スプレー、そしてドリンクを持っていやってきていた。

壊したことを怒られるのかと頭を下げる唯子だが、いいのいいのと長岡は手をひらひらさせる。



「いまさらだしねー」

「う・・・・」


そうしている長岡の視線の先にあるのは

・ベルトが引きずり出されているルームランナー
・重りが跳ね上がってしまっている筋トレ器具各種
・バネが所々飛び出ているマットレス
・壁に叩きつけられたサンドバック(今ここ)

という面々。


最初はびっくりしたが、ここまで来ると逆にどこまでいけるのかと面白くなってくる。



「ま、これ以上はされると困りますけどね」

「あ、あはは・・・・」

「だから、これから実践訓練しません?」

「え?」



「うっぷん晴らすにしても、ここの物じゃ耐えられないでしょ?」

「でも・・・・」

「傷つけちゃうの、怖い?」

「・・・・・はい」


唯子が頷く。
やはりなんであろうと「力」は何かを傷つけてしまうものだ。

自分であろうと、相手であろうと、心であろうと。
勝つ以上は、負けた方の心に「悔しさ」を与える。


「うん、それでいいんじゃないかと、思うわ」

「そう・・・ですか?」

「それはあなたのやさしさだから。どんな状況に投げ出されても、前に進もうとする、貴女の良いところ」

「考えてないだけですよ・・・・」

「でも、自分が傷つくのを恐れてしまってる人が、いるでしょう?」


長岡の言葉に、唯子が言葉を止める。


鉄 翼刀。

責任から押しつぶされそうになり、悪に逃げてしまった男。
傷つくことを、恐れてしまった男。



「目、覚まさせてやらなきゃね」

「でも・・・どうやって・・・・・それに、赤銅のとかって言うのも・・・・」



「好きな人、取られちゃってもいいのかしら?」

「それはっ・・・・」

「じゃあやることは一つね。引っ叩いてでも奪い返して、引きずってでも連れてくること!」

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