第四章 RE:BIRTH
蓋 開かれるとき
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
心が軋む
押し込めていたものが、溢れ出す。
(止めてくれ)
タガが外れ、それが胸から広がって全身の末端にまで染み渡る。
重い
暗い
辛い
(出て・・・来ないでくれッ・・・!)
「それ」に向かって
手を伸ばす
掴む
だけど、「蓋」は様々なモノにほどけて行って、手の中から消えてしまった。
脳が知覚する。
目の前の状況と、そこから導き出される、結果を
心が、悲鳴を上げる。
耐えられない 絶対に嫌だ 逃げ出したい
俺は
今
なんで
声が聞こえる。
でもそれどころじゃない。
抑えられない。
自分は何処かに行ってしまった。
見えない できない
あの自分じゃなきゃダメだ。
あれが完成形だったんだ。
あれが憧れの形だったんだ。
あれがなくちゃ、俺は何もできない
震えるだけの、哀れな人間。
そんなのは嫌だ。
だから組み上げたのに。
外して、そのまま消されてしまった。
あんな密度の物、もう二度と組み上げられるものか。
もう、戻れない。
嗚呼・・・・
だけど
今は
そんなことより・・・・・・
「死にたく・・・・ないッッ・・・・・!!怖いんだ・・・・・!!!!」
------------------------------------------------------------
弾けたように倒れた蒔風が、上空の赤銅を見上げて震える。
Χブレードが振られ、蒔風の足元に横一文字の切り目が出来た。
だが蒔風は何もできず、地面にその後が出来てからあわてはじめた。
「く、来るなッッ!!」
「・・・・・面白き、者よな」
その蒔風を見て、赤銅が短く呟く。
そして、翼刀に視線を戻した。
もう興味はないとでもいうように。
赤銅は翼刀と再び交戦、焦土を作り出す。
「しゅ、舜君!!大丈夫!?」
「だ・・・ダメだ・・・・動かない・・・・・」
蒔風の首が、震えながら向く。
その顔は半笑いで、どうすればいいのかわからないという表情で。
「え?」
「身体が・・・・心が・・・・!!ビビッて・・・・動かないんだ・・・・」
自分の体を抱え、地面に座り込む蒔風はカタカタと震えていた。
噴き出してきた恐怖。
自分の命を脅かす存在に、全身全霊が警告音を上げている。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ