0085話『阿武隈の憂鬱』
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そして二人が入ってくる頃合いを見てクラッカーなども準備して待っていると、
『球磨姉さん。北上さんを連れてきました』
「わかったクマ」
『大井っち? 球磨姉さんの部屋でなにをするのさ……?』
『ふふ。先ほどの続きですよ北上さん』
『ふーん……?』
それで扉が開かれたと同時に、あたし達はクラッカーを打ち鳴らしました。
それで驚いている北上さんの表情が見れました。
普段は達観したような顔をしていますからどこか新鮮です。
「北上! 進水日おめでとうクマ! お姉ちゃんも嬉しいぞクマ!」
「多摩も鼻が高いにゃ!」
「北上姉さん、おめでとう」
「えっと……北上さん。進水日おめでとうございます……」
少し三人に出遅れながらもあたしもお祝いの言葉を言いました。
「球磨姉さんとかは別に分かるんだけど……なんで阿武隈がいんの……?」
「べ、べつにいいじゃないですかぁ! あたしも北上さんの事を祝いたかったんですよー! はい!!」
そのままの勢いであたしはプレゼント箱を北上さんに渡しました。
「まぁ、ありがと……? 受け取っておくよ」
「球磨も用意しているクマ」
「抜かりはないにゃ」
「ああ。俺からもあるぞ、受け取ってくれ姉さん」
あたしに続いて三人も渡していました。
それで北上さんは普段しないような優しい表情になって、
「なんだか知らないけど……色々とありがとね、みんな」
「さあさ! 北上、さっさと立っていないで座るクマ。ケーキも用意してあるクマよ」
「ちなみにケーキは俺が作った。球磨姉さんが作ると科学変異が起こって食えたものじゃないからな」
「木曾……そういうのは本人がいないところで言えにゃ。後で球磨に叱ってもらうにゃ」
「すみませんでした……」
そんなやり取りをしながらも北上さんの進水日の会は意外に静かに行われていきました。
そしてそんな北上さんはあたしの前髪をわざといじりながらも、
「阿武隈もありがとね」
「もう……あたしの前髪を自由にいじらせるのは今回だけですよ?」
「はいはい〜」
それで北上さんはあたしが顔が赤くなっているのを承知でいじり続けていました。
大井さんの睨みが怖かったけど我慢です。
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