第4章:日常と非日常
第113話「修学旅行」
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ゃあ早速行くぞー!」
ずんずんと聡が先に進んでいく。
「……ん…?」
「どうしたの?」
ふと、感じた予感に首を傾げる。
司はそんな僕が気になったのか、尋ねてきた。
「…ちょっと、嫌な予感がして…ね」
「そっか……」
僕の言葉に、司も少し気を引き締める。
…僕の嫌な予感は、それこそ嫌なぐらい当たってしまうからな。
「…………」
修学旅行に来ているのは、聖祥大附属小学校だけじゃない。
どこかの高校も来ているらしく、それっぽい集団が所々に見られた。
…そして、その一部がとても気になった。
「………」
「……れ、玲菜?」
散策開始から約一時間後。
昼食を食べ終えた僕らは、ちょうど会った玲菜のいるグループと行動を共にしていた。
……していたんだが…玲菜と聡の間の空気が…。
「(…昨日、散々アピールしたのに全部スルーされたからなぁ…)」
「(…皆、どうすればいいか悩んでるね…)」
玲菜は、今回の修学旅行で何とか聡に自分の気持ちに気づかせたいと思っていた。
それで昨日は色々アピールしてたんだが…聡はそれを悉くスルー。
どこかの鈍感系主人公かと言わんばかりに玲菜のアピールに気づかなかった。
「お、おい、玲菜?」
「ふん……」
ぷいっとそっぽを向くように、玲菜は聡から顔を背ける。
…これは、完全に拗ねてるなぁ…。
「ちょっ、玲菜!?」
「来ないでよ!」
気まずそうにそれを追いかける聡と、それから逃げる玲菜。
一応人に迷惑を掛けないように、路地裏の方へと進路を変えていく。
本人たちは真剣だが、僕らからすれば微笑ましいもので、少し成り行きを見ていた。
―――……などと、油断していたからだろうか。
―――彼女を狙う“悪意”に気づけなかったのは。
「きゃっ……!?」
「っ、玲菜…!?」
路地裏の入り組んだ道を曲がった玲菜が、短い悲鳴を上げる。
それを訝しんだ聡は、急いで何があったか確認しに行った。
僕と司もおかしいと思い、すぐに追いつく。
「玲菜!?」
「聡!何が起きた!」
僕らが追いついた時には、既に誰もいなくなっていた。
聡は僕の問いに答える事もなく、すぐに駆けていく。
「おい!」
「優輝君、これって…」
「…状況から考えて、拉致か…。くそっ、なんでこんな時に…!」
聡の姿も既に見えない所まで行っていた。
…悠長にもたついている時間はない、か。
「東郷達は急いで大通りに戻って先生に玲菜が拉致られたと連絡!大通りに出るまで固まって移動しろ!」
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