第4章:日常と非日常
第113話「修学旅行」
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していなかった。
まぁ、普通小学生の時点で単語の一つを気にする事なんて某名探偵でもないのにありえないだろう。…と、言う訳で簡単に説明しておく。
「……ふーん。そんなのがいるのか」
「ま、会えたら嬉しい程度だろう」
「そうだな。…って、うん?」
“がさり”と言う音と共に聡が声を上げる。
「今、そっちに誰かいたような…」
「…気のせいだろ?」
「いや、確かに…!」
「あ、おいちょっと!」
確かに誰かがいたのは気配で感じた。
けど、敵意どころかこっちを伺うものですらなかったので、通りすがりだろう。
しかし、聡は気になって茂みの方へ入って行ってしまった。
「ああもう。司、東郷、佐藤さん、先生が来たら説明頼む!」
「りょ、了解!」
僕も聡を追いかけて茂みに入る。
あいつの気配は分かるから、僕が迷う事はないだろうけど…。
って、あいつ結構速い…!というかなんで奥まで入っていくんだ!
「まずいな。魔力も持ってないから気配だけでは分からなくなるぞ」
僕は恭也さん達と違って、生身での気配はそこまで感じ取れない。
いつも魔力を基にして気配を探ってたからな……今は霊力もあるけど。
けど、聡は魔力はないし、霊力も一般人。普通の気配だけでは茂みの中は厳しい。
「うわっ!?」
「そっちか!」
聡の声が聞こえ、茂みの中を駆ける。
突然の事に何か驚いた声なので、おそらく足を踏み外しでもしたのだろう。
「(…ん?霊力…?)」
声の下へ向かう時、そこに見知らぬ霊力の持ち主がいるのが感じられた。
「聡!」
「ゆ、優輝!?」
「こんな所にいたか……それで…」
辿り着くと、そこには聡と…その聡を抱えた、一人の女性がいた。
赤いショートカットの髪で、黒と紫を基調としたシャツに赤茶色のズボンを履いていた。
それと、背中に布で包まれた棒状のものを担いでいる。
「貴女は…」
「いやぁ、この子が少し大きな段差で足を滑らしてね。危ないからつい助けたが……あんたの友達かい?」
「はい。まぁ、彼を連れ戻しにって感じですね」
明るい雰囲気を感じさせる口調の女性。
一見姉御肌な感じの女性かと思えるが……霊力を確かに持っている。
それに……。
「(耳と、尻尾…か)」
赤い耳と尻尾が僕には“視えた”。認識阻害の術だろう。
と、いう事はこの女性は人間ではなく、おまけに霊力による術なども使えるようだ。
「あんた達、今日沖縄に来た子達だろう?ついでだから送ってやるよ」
「へ?あ、そういえば…ここ、どこだ?」
「今更かよ聡…。一応、道は分かるんですけど…頼みます」
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