過去のマイン
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「あ、あの……わたしも驚いただけですから、そんな謝らなくても……。そ、それよりアイス、一緒に食べませんか? みんなで食べればきっと美味しいですよ」
わたわたしながらも出したキャロの心優しい提案にうちも女性もつい穏やかな表情を浮かべ、とりあえずバニラ味のアイスクリームを4人で購入した。近くのソファに座って仲良くアイスを食べ始めるキャロとジョン、そんな二人を眺めて全く知らない者同士、それも住んでた世界が違う者同士でもあんな風に笑い合えるのだと思うと……大袈裟かもしれへんけど、あの子達のように手を取り合えるのなら世界はもっと良くなる、そんな気がしてきた。
「ほんま、子供の笑顔って、不思議な力があるなぁ。守ってやりたくなるっちゅうか、元気をもらえるっちゅうか……」
「そうですね……あの子は私にとって、太陽みたいな存在ですから。私はいつか、その太陽が雨に光を与えてくれる、そんな日が来ることを願っています」
そう言って誰かに想いを馳せる女性やけど、雨に光なんて、ちょっと不思議な表現やな。
「僕ね、アニメのヒーローみたいになりたいんだ」
「ヒーロー、ですか?」
「うん。弱い人を助けて、強きをくじく。皆が幸せに暮らせる世界を守る、そんな正義の味方になりたいんだ」
「へ〜、なんだかカッコイイです。頑張ってくださいね!」
アイスを食べ終えたうちらは二人と手を振って別れ、ターミナルへ戻ると丁度いいタイミングでネピリムが呼びに来ていた。そんなわけでタクシーに乗って、うちらは空港を離れた。後ろ窓で遠ざかる空港を眺めながら、うちは置いて行ったサルタナのことを気にしてたけど、立場が偉くなると色々やる事も多いんやなぁと、どこか他人事のように感じていた。
「政治に興味が無い人が議員を見てる時の気持ちって、大体こんな気分なんかな?」
「忠告。世界の情勢を知らなくても別に死にはしないけど、情報戦などで必ずと言っていい程乗り遅れるから、そんな気分でいるのはあまりおすすめしない。もっと色々なことに耳を傾けておくといい」
「えっと……政治の話って、外界とほとんど接触しないまま育ったわたしにはよくわかりません……」
「助言。キャロは政治について、今は大して気にしなくていい。もっと大きくなって、色んな知識を覚えて、自分の考えがちゃんと伝えられるようになってからの方がいい。今はまだ他のことじゃなくて、自分のことに集中しておくべき。例えばちょっとした夢でもいいから、目標を見つけるとか」
「(ジョン君の言ってた、アニメのヒーローみたいになりたい、みたいなことかな?)……わかりました、わたしも、何か目標を探してみます」
妙にやる気を見せるキャロ。よくわからへんけど、あの親子との接触はキャロに良い影響を与えたの
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