過去のマイン
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てきていた。正確には、大量のクロロホルルンが全身に憑りついた人型の巨竜……一応ドラゴンゾンビにまではなっていないが、さしずめ邪竜とでも呼ぶべき化け物ではあった。なぜか両翼が石化しているそいつは街の外からゆっくりと、足音で地響きを立てながら着実にこちらの方へ近づいてきていた。
「あれは……そ、そんなはずは!?」
「キャロ、あれが何なのか知っとるんか?」
「……アルザスの守護竜、ヴォルテール。この世界の守り神とも謳われるほどの力を持った竜で、わたしに竜の加護を与えた偉大な存在です。それがどうして、あんな目も当てられない姿に……!?」
「守り神……!? とにかく、あれと戦うのがヤバいってことはわかった。なら急いで逃げるで!」
状況を把握したうちはひとまず遮蔽物に身を隠そうと、キャロの手を引っ張って走り出そうとした。その直後……、
ズドォォォンッ!!
―――グルァァアアアアア……!!
ヴォルテールの方から謎の爆発音が聞こえた。何らかのダメージを受けたらしく、うめき声を上げながら膝をついたヴォルテールの背中に、うちは今の爆発音を発生させた存在を見つけた。
「あいつは……!」
真っ黒な突撃槍を持った黒い鎧をまとう少女。以前シャロンが言ってた、ジャンゴを次元世界に連れて行った少女と特徴が完全に同じやった。まさか彼女が……?
何はともあれ、彼女はどういう訳かその槍を振るって、体勢を立て直したヴォルテールと戦い始めた。苦し気な雄叫びを上げてもがく巨竜の腕をその細腕で弾き、暗黒物質が大量に混じった炎のブレスを槍の機構らしいジェット噴射で一直線に貫き、一気にヴォルテールの頭部へ接近していった。だがヴォルテールもそう簡単には倒れまいと、巨体を活かした頭突きを繰り出し、彼女を凄まじい勢いで吹き飛ばした。……うちらのいる方へ。
「ちょ!? こっちに……来よったぁ!?」
「あわわわわ!!???」
うちとキャロは思わず涙目で互いに抱き合うけど、少女はうちらの目の前で槍を上手く地面に突き刺して、それを軸に回転、衝突することなく一瞬で体勢を立て直した。そして今のでうちらに気付いた彼女は地面から槍を引っこ抜くなり、こう言ってきた。
「質問。……観光?」
「ぜ、全然ちゃうわ!?」
「冗談。水に流してほしい」
「あ、あの……ヴォルテールがこっちに砲撃を……大地の咆哮を吐こうとしてますよ!?」
「残念。あの集束速度じゃ逃げ切れない。仲良く仏様になる?」
「なってたまるかいな! あ〜もう、しゃあない! アニマの器発動! レイ・ロード!!」
うちが使える氷系最強魔法にアニマの器の力を注いで、巨大な氷塊をヴォルテールの頭上に生み出す。本来は一軒家ぐらいのサイズで生み
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