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リリなのinボクらの太陽サーガ
過去のマイン
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石化したルシエの里から出発したうちらは星読みで見た次元港のある街の方角に歩き、なんとか日が沈む少し前に到着した。里から12キロメートルの距離なのにこんなに時間がかかったのは、まずキャロが旅慣れていないことや精神的ショックで色々消耗が激しかったのと、森の中を突っ切ったせいで方角が非常にわかりづらかったからや。もしキャロ一人で街まで行く羽目になってたら、一日どころか一週間以上迷ってたかもしれへんな。

『―――続いてのニュースです。先日ミッドチルダが襲撃されたことで発生した怪我人は1万を超え、そのうち死傷者は1000人弱、重傷者は2000人以上となっており―――』

街を歩いとると、電気屋の売り物のテレビからニュース番組の映像が流れとった。ミッドチルダといえばこの管理世界の中心地やったことを思い出したけど、今のうちらはそのことに意識を向ける余裕はなかった。なぜなら……、

「ここにも生存者はおらへんのか……」

「一体どうなってしまったんですか、アルザスは……」

キャロの言葉には沈痛な気持ちが込められとった。そしてうちも、こんな光景と何度も遭遇したことに内心困惑していた。

何が起きてるかと言うと、ルシエの里と同じで、この街でも生物が全て石化しとった。実は道中の森でも猛獣や鳥たち、蟻や小さな虫すらも石になって一面に転がってたし、なんちゅうか……この世界で生きてるのはうちらだけしかおらんような錯覚すら感じさせるほどやった。

「参った……次元港の人もことごとく石化しとる。うちらは次元航行艦なんて動かせへんし、これじゃあ他の世界に行くこともできひん。どないしよう……」

「いくらフリードでも、次元空間までは飛べませんもんね……」

「きゅるー……」

フリードが申し訳なさそうに落ち込む。竜と言えど召喚士に呼ばれたのならば次元の壁を超えることは可能やけど、単独じゃあどうしようもあらへんのな。

しかし……これはアレか? うちにまたアニマの器込みの転移魔法を使えと言うとるんやろうか? 今度は並行世界やのうて次元世界間を移動するわけやから難易度はこっちの方が低いとは思うけど、うちはアニマの器を使い慣れとらんし、昨日の転移失敗の件もあってどうしても抵抗が湧いてしまう。まぁ、ちゃんと使えるように練習すればええ話やけど、練習してない今は不安過ぎて、他にどうしようもないと判断するまではやめておきたい。

「……きゅる!? ぐるるるる……!」

「フリード? ど、どうしたの、急に……!」

いきなりフリードがある方角を向いて、小さい体躯ながらも翼を広げて威嚇行動を取った。うちらもつられてフリードと同じ方を見て……絶句した。

「なんや……あれは!?」

日没で太陽の光が一気に薄くなってきた空の向こうから、“闇”が迫っ
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