第51話<墓参前騒動>
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「軍事演習の真似事でもする気か?」
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「艦これ」的「みほ2ん」
第51話 <墓参前騒動>(改)
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「暑いねえ」
鎮守府のどこに居ても、この掛け声が合言葉のように響く。
ただ艦娘の性格の違いがある。
「暑いですね」
……と言う子も居れば
「暑っちぃなぁ、オイ!」
……と言う子も居る。
どっちが誰だとは、いちいち気に留めない。
私が指令室に入っていると索敵と無線を兼任して担当している利根がうちわで扇ぎならが言った。
「山陰の夏は、やっぱ暑いのう」
すると別の端末を見ていた大淀さんが言う。
「そうですね……ここは気温は高いのですが湿気が多いです。それに太平洋側と違って晴天が多いです」
「え? そうなのか」
時折、水偵と無線で交信をしている利根が目を丸くして言った。
「はい。日本海側特有の気候です」
「へぇ」
利根は白いリボンに手をやりながら少し感心したようだった。
その場は二人に任せて私は執務室に戻る。そこには秘書官の祥高さんが自分の机に座って書類を整理していた。
「司令、軍令部に提出する報告書の内容ですが」
「ああ」
私も自分の机に腰をかける。
彼女は続けた。
「深海棲艦とは相変わらず数日の間隔で日本海で哨戒部隊との衝突を繰り返しています」
「今のところ双方には、さほど被害は無いな」
私の言葉に彼女は書類を数枚、めくりながら答えた。
「はい……相手も深追いしてこないことがほとんどです」
「そういうところは妙に人間臭いよな」
彼女も苦笑した。
……そう、相手も単なる機械ではないことがこれで分かる。闇雲に攻撃してくるわけでもなさそうなのだ。
何かの目的がある感触だが……真実は分からない。
私は彼女を見て言った。
「今のところ美保へ攻撃を強行してくることは無いな」
「はい。しかし時折、別の山陰海岸の砂浜から上陸した形跡が見られることがあります」
その言葉に私は腕を組んだ。
「上陸か……しかしそっちは陸軍の管轄になるからな。海軍の我々としては何ともいえない」
「……」
お互いに無言になる。
私は指示を出す。
「内容はそれで良いよ。後は頼む」
「はい」
私は再び立ち上がると廊下へ出た。
窓から輝く日本海が見える。
私は鎮守府の敷地内外で訓練をする艦娘たちを見ながら考えた。
(我々としては日々、国土防衛に努めつつ粛々と鍛錬に勤めるばかりだ)
そして美保鎮守府は8月を迎えた。気がつくと、お盆前だ。
私は早速、軍令部に休暇届を出して
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