SIDE:A
第十七話
[1/7]
[8]前話 [1]次 最後
無事に一か月間のサバイバル修行を終え、五体満足で帰宅した俺に待ち受けていたのは、オカンの雷だった。
修行中、影分身によるアリバイ作りで不在を誤魔化そうとしたわけだが、クーちゃんが居ないことを怪訝に感じたらしい。いつも俺にべったりなのに一か月も不在にしているのはおかしいと。
どんな堅牢な城でも小指ほどの穴から瓦解する。俺の完璧なアリバイ作りという名の城も、クーちゃんという小さな穴を責められ呆気なく落とされたのだった。このハルト、一生の不覚である。
事情を知るであろう父さんは問い詰められると簡単にゲロりやがった。忍びたる者情報の重要性をその身で知っているはずなのに、簡単に敵に明け渡したのだ。もしこの世界に火影不信任決議案があれば間違いなく決議されるであろう事案である。
そういう経緯を経て母さんに暴露された俺は『母さんに内緒にしていた』、『死の森でサバイバルという無謀な修行内容について』『十分な安全の確保を怠った』と三つの理由で折檻された。母さんに内緒にしていた件はその通りなので何も言えないが、二つ目と三つ目の理由については反論の余地がある。目的が目的だったし、そのくらい危険な場所でないと修行にならない。十分な安全確保もクーちゃんという保険を掛けていたから、これ以上ない保険だろ。
まあ、そんな俺の言い分なんて激おこ状態――通称"赤いハバネロ"モードと化した母さんには焼け石に水だけど。カップヌードルのCMに是非、赤いハバネロ星人というキャッチコピーで起用してほしいくらいの激昂っぷりだもの。
触らぬ神がなんとやら。ハザードシンボルが付いた危険物の前で、火遊びをするほど命捨ててはいない。
「先程から上の空じゃが、何を考えているんじゃ?」
先日の修羅場を回想していた俺にクーちゃんが声を掛けてきた。見れば九尾の妖狐だけでなく可愛い妹の汐音や、愛しの婚約者であるヒナタまでこちらを見ていた。
「ん? いや、今日はなにして過ごそうかなって」
「主のことじゃから、どうせ今日も寝て過ごすのでないか?」
大半の授業で俺が取る行動を指摘するクーちゃん。いや、その時になってみないと分からないから。まあなんだかんだその通りなんだけど。
「だ、ダメだよハルトくん。授業はちゃんと受けないと」
「気持ちはわかるけど、お兄ちゃん寝てばかりだと成績に関わるってばさ」
俺の授業態度が不満――不安? 心配? なのかヒナタが眉をハの字にしてこっちを見上げてきた。無意識のうちに俺の保護欲を刺激してくる婚約者の隣で汐音も苦笑を浮かべている。
俺は幼少時代からの自主勉強から、汐音はそんな兄とクーちゃんでの英才教育を受けているため、我らうずま
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ