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強欲探偵インヴェスの事件簿
インヴェスの本性、そして悪名
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いた。やがてその沈黙に耐え兼ねたのか、ミーアが口を開いた。

「やっぱり……あんな所に住んでいる人達に録な人なんて居ないんですね」

 あんな所、というのはスラムの事であり、録な人なんて居ないというのは、インヴェスとあのじいさんの事だろう。

「おいおい、インヴェスはともかくあのじいさんはミーアちゃんを助けたんだぜ?」

「えっ?」

 ミーアは土地勘も無く、適当に走り出してしまったせいもあり、スラムの奥地に紛れ込んでしまいそうになっていた。スラムの奥地は犯罪者集団の巣窟だ。盗賊の互助組織である盗賊ギルドなんて物が幅を効かせていたり、ヤクザやマフィア、ギャングのような組織が縄張り争いを繰り広げる。その他にも他国から逃れてきた賞金首が潜んでいたりと、素人が踏み込んでいい領域ではない。あのじいさんはあんなナリをしているがこの街のスラムを仕切る顔役の一人で、カタギに迷惑はかけられないとスラムの奥地に入り込んでしまう通路を見張り、どうにか引き留めて追い返す門番のような役目を果たしている……寧ろスラムには珍しい善人の類いの人物である。

「あのじいさんは寧ろ君を助けようとしていた。インヴェスを悪く言うのは一向に構わんが、あいつだけでスラムの人間が全て悪党だとは思って欲しくはないな」

「は、はい……」

「しかし……参ったな。インヴェスが使えないとなると、やはりギルドに捜索依頼を出すしか無いだろうな」

「でも、報酬が……」

「報酬に関してはどうにかなるかもしれない。とりあえずギルドに向かおう」

 ハリーもつい今しがた思い出したのだ。モンスターの討伐報酬の査定をベッツィーに頼んだままほったらかしにしていた事を。





「捜索依頼が発行できない?そりゃどういう事だ」

 ギルドへ向かったハリーとミーア。査定をすっぽかしたハリーが多少のお叱りを受けたものの、その他は特に問題は無かったはずだった。ミーアの相棒を捜索する依頼を出そうとして拒否されるまでは、だが。

「すみません、以前にも同じ方からの捜索依頼を受けていたのですが、その後ギルドが調査した結果、獣人やエルフ等の亜人種ハンターの失踪・行方不明が散発的にではありますが続いている事が判明しまして。この案件はギルドの調査対象になりました」

 ギルドの調査対象、というのはギルドに何らかの組織が敵対の意思を見せてその活動を妨害しようとしている可能性がある場合、ギルドの組織力を使って敵対組織が妨害工作を中止するか、組織自体が壊滅するまでその力を行使するという事だ。表沙汰には出来ないような事までする、という噂で一般のハンターが関与する事は一切無いし情報開示を求めても取り付く島も無い。

「ミーアさん……でしたか?ギルドを挙げて調査致しますので、ここは
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