第50話<寛代の変化>
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女を見ると北上は微笑んでいた。
私は続ける。
「別に信心してるほどじゃないが、やはり墓参は、きっちりやりたい。お盆は込むからタイミングを前にずらしてね……もう、お墓の場所は分かったから迷わないだろうし」
納得したような大淀さんも頷いた。
「分かりました、伝えておきます」
そのとき後ろから低い声。
「司令……」
「うわっ」
一瞬、山城さんかと思った。
だが私が、ぎこちなく振り返るとそこに、すまし顔の日向が居た。
「どうした?」
「差し支えなければ私もご同伴願いたく存じます」
「そうか」
今回、彼女は最大級の功労者だ。拒否出来るはずもない。
「分かった。お前も今日は大変だったからな」
私は頷いた。
彼女は少し微笑むと明るい声で言った。
「ありがとうございます」
すると意外な声。
「へえ、それならアタシも行きたいな。あいつが出没したところも拝んでみたいしね」
私は少し慌てた。
「何を言い出すんだ、北上」
「えぇ、何でサ。別に良いよね? だって一人くらい増えても邪魔にならないでしょ? アタシも主体的に動くから」
そう言いつつ彼女は後ろに結んだ三つ編みの髪の毛を鞭のように振り回す。
(それはヌンチャクか?)
その三つ編みを振り回すなって。チクチクして痛いんだよ……。
「あ、まあ良いか」
気がつくと結局、押し切られた。
北上と日向は、私の目の前で嬉しそうに言葉を交わしている。タイプの違う二人の艦娘を見て私は思った。
この二人の艦娘とは付き合いが長い。だが思い起こせば、その多くは鎮守府での時間だ。
だが艦娘の部隊では指揮官と艦娘が共に闘う機会が普通の軍隊よりも少なくなっていく。それはいけないと思いつつ今直ぐに改善するのは難しいだろう。政治家や上層部から見たら、これほど人間が守られる戦闘システムは他にないからだ。
私も長らく、その傾向が強かった。
しかし今回、美保に着任して、いろいろ考え方が変わった。
特に日向や寛代と行動を共にして艦娘への認識が改まったな。
「このままじゃいけない……か」
「え? 何が」
直ぐ反応したのは北上。
「いろいろ変えていこうってことだ」
「ふうん」
頭の後ろに手を組んでいる彼女。この屈託の無い開けっ広げなところは彼女らしい。
私は言った。
「今回は実家にも寄らないつもりだ」
「へぇ」
「別に良いだろう?」
そう思って、ふと見ると……あれ?
「……」
気のせいか日向がジト目で見詰めていた。
「何だ? 日向……」
「いえ」
すると北上が突っ込みを入れる。
「日向はサ、司令の実家に行きたいんだよね」
「はぁ?」
そりゃ意
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