第三章
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「そちらもね」
「私と出会うずっと前から描いてるのに」
「もう三十年以上描いてるわね」
「けれど三十年以上描いていて」
それこそ中学生の時からだ。
「全部描いて」
「描きたいものを」
「それでね」
「もう、よね」
「描きたいものもないしね」
「あの作品が終わったら」
「もういいよ」
漫画を描くことはとだ、カサロヴァはテレサに澄んだ笑顔で話した。悔いがないというその顔で。
「描くことは」
「読む方に専念するのね」
「そうするよ、あと少しでね」
長くて一年半だ、三十年描いていることから考えると一年派も少しということになるだろうか。
「僕もね」
「描き終えて」
「読むおとに専念するよ」
こう言ってだ、彼は妻にもこれからどうするのかを話してだ。作品を結末に向けて描いていった。そして。
その一年半後にだ、遂にだった。
結末まで描いた、そして最後の投稿もしてだった。
最後に作者からのメッセージでもう漫画を描くことを止めると書こうとした。だがその前にだった。
ふとだ、彼は気が向いてそれでだった。断筆宣言を公表する前にだ。
投稿しているサイトのトップを観て運営等の連絡を読もうと思った。新たな連絡はなかったが。
ふと興味を引いた漫画のタイトルを見てだった、それで。
その作品を読むと実に面白い四コマだった、それでだった。
こうした作品を自分も描きたいと思いだ、早速だった。
プロットを創りだしそこから日数をかけて描いていきまた投稿した、そのうえで友人達い言った。
「気が変わってね」
「まだ描いてるじゃないか」
「四コマスタートさせたね」
「断筆するんじゃなかったのかい?」
「引退するんじゃ」
「そのつもりだったけれどね」
自分でも言うのだった。
「それが気が変わったんだよ」
「あの作品は描いたけれど」
「完結させたけれどだね」
「筆を置かずに」
「描き続けるんだね」
「そうすることにしたよ」
断筆を止めたというのだ。
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