第二章
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「後はもうね」
「描きたいものは全て描いた」
「そしてライフワークの作品も終わったら」
「その時はだね」
「筆を折るだろうね」
つまり漫画を描くのを止めるというのだ。
「そうなるだろうね」
「ううん、そうなるんだね」
「あの作品を描き終えたら」
「その時はだね」
「そうするんだね」
「そうかもね、描きたいものを全て描いたら」
まさにその時はというのだ。
「後は本業に専念するよ」
「そっちに専念してだね」
「もう漫画は描かない」
「二度と」
「読むけれどね」
漫画をというのだ。
「描くことはないだろうね、じゃあ今日もね」
「描いてだね」
「投稿するんだね」
「そうするよ」
笑って言った、そしてだった。
彼はそのライフワークをしていった、そうしてだった。
作品は結末に近付いていっていた、作品は描けば描けばそれだけ結末に近付くのはどの作品でも同じだ。
それでだ、彼もだった。
作品が彼が思い描いている結末に近付くにつれてだ、家族にも言うのだった。
「終わりか近付いているね」
「作品のなのね」
「うん、描いてるね」
家族もその事情を聞いていて知っているのでわせた。
「それがいよいよね」
「終わるの」
「それが見えてきたよ」
「まだ続くの」
「うん、けれどあと長くで一年半だね」
それ位でというのだ。
「終わるよ」
「そうなのね」
妻のテレサはその緑の目を瞬かせて夫に応えた、顔はアジア系だが肌は黒い。髪は黒でさらりとしたロングヘアだ。
「いよいよ」
「うん、本当にね」
「長く続いたけれど」
「あと一年半で」
「長く続いたけれど」
「終わるよ」
結末が見えてきたというのだ。
「あと少しで」
「あなたのライフワークが」
「終わるよ、それで描き終わったら」
「やっぱり」
「もう描くことはないよ」
この考えはもう決まっていた、この時点では。
「漫画をね」
「ずっと描いてきたのに」
「それで収入も得ていたけれどね」
それでもというのだ。
「もうね」
「終わるのね」
「漫画家の方もね」
作品だけでなくというのだ。
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