第三章
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「まあお互いにね」
「赤ちゃん出来るってことはね」
「マリア様でもない限りね」
そうした話であることは二人で話した、そしてだった。
その話をしてからだ、杏美は一人で考えようとも思ったがすぐにこう決めた。
「今度機会があったら」
「高橋君と」
「キス、してくるわ」
こう愛美に言った。
「今度ね」
「決意したのね」
「ええ、それで」
「どんな味か」
「愛美ちゃんに話すわね」
「じゃあ私もね」
愛美もこう杏美に言った。
「あずちゃんに言うだけじゃなくて」
「自分もっていうのね」
「だって相手に言うだけなら卑怯でしょ」
こう考えるからだというのだ。
「それでね」
「愛美ちゃんもなのね」
「彼氏とね」
まさにというのだ。
「キスしてくるわ」
「お互いね」
「何時かはだしね」
「それならね」
「彼氏とね」
「そうしたことはして」
「済ませるって訳じゃないけれど」
通過点ではなく、というのだ。
「やってみましょう」
「そうね、お互いにね」
二人で話す、そしてだった。
杏美は実際に交際相手の同級生である川藤直哉と学校帰りのデートをしている時にこう言った。
別れ際でだ、こう言ったのだった。
「ねえ、これからね」
「これから?」
「そう、これからね」
俯きながら話した。
「キスしない」
「キスって」
直哉は杏美のその言葉に真剣な顔になった、引き締まった長身に太い眉ときりっとした顔を持っている。黒髪を丁寧にまとめている。
「まさか」
「私達付き合って少し経つし」
「それでなんだ」
「私キスまだだし」
直哉にもそのことを話した。
「だからね」
「それじゃあ」
「直哉君もよね」
「付き合ったの杏美ちゃんがはじめてだし」
「だったらね」
「ええと、ここで?」
直哉は場所のことを言った、二人は今夕暮れの駅前にいるが周りには幸い誰もいない。
「今は人がいないけれど」
「ああ、もうすぐまた電車も来るし」
「今はたまたま人がいないだけだから」
「場所変える?」
「そうしよう、裏通りに入って」
「それじゃあ」
二人でこう話してだった、それで駅の裏通りの人気のない場所に入ってそうしてだった。杏美は背の高い直哉の首を必死に背を伸ばしたうえで両手を回して抱いて目を閉じてそのうえで。
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