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SAO−銀ノ月−
瞬間
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 アインクラッド第百層《紅玉宮》。戦闘音に負けじと響き渡る太陽のような歌声を背後に受けて、この世界に現れたプレイヤーたちと《An incarnate of the Radius》との戦いが始まった。プレイヤーの数に比例するように、漆黒の大樹から発生する巨大な幹がプレイヤーを襲うように繁茂し、フィールド自体も一時たりとも同じ構成で留まることはない。床や壁もがラスボスの攻撃を受けやすいように移動し、動くことを止めれば次の瞬間にはこの世界から消えていることだろう。

「仲間に当て……いや、当たるような馬鹿な真似はするなよ!」

「ヒューッ! サクヤちゃん過激だネ!」

 自然と《ALO》のメイジ部隊の指揮を取っているサクヤの指示による魔法で、大樹の幹や瓦礫などは破壊されていくものの、それは裏を返せば《ALO》における最大火力を誇る魔法攻撃はラスボスには届かないということで。返礼のように放たれるレーザーの回避に苦心するメイジ部隊の地上では、誰に指示を仰ぐわけでもなく《GGO》から来たプレイヤーたちが、回り込みながらも銃でメイジ部隊の魔法では届かない場所を撃ち抜いていく。

「ほらレン走った走った! お母さんはあなたをそんな柔な子に育てたつもりはありません!」

「誰かお母さんか!」

 そうして遠距離攻撃が可能なメンバーが何とか血路を開いた穴を、主に《ALO》のプレイヤーがユージーン将軍を先頭に飛翔していく。しかしメイジ部隊とガンナーが排除してくる漆黒の大樹からの攻撃はともかく、《An incarnate of the Radius》からの攻撃自体は止められる術はなく。容赦なく振るわれる槍や剣、レーザーを、エギルにテッチを始めとする重装備のプレイヤーが数人がかりで防いでいた。

「へぇ……斬りがいのあるもの持ってるじゃない……」

「レコン!」

「任せてリーファちゃん!」

 そうしてようやくたどり着いた《An incarnate of the Radius》本体に、光剣を持った女性プレイヤーが真っ先に斬りかかったものの、そこは強固に張られた障壁がラスボスへの一撃を許さずに。ここまでたどり着けた《ALO》の一部のプレイヤーが、障壁を解除させる効果を持つ魔法を放つものの、明らかに人数が足りておらず完全に無効化することは出来ず。

「サウザンド・レイン!」

「でぇぇりゃあ!」

 それでも脆くなっただけで充分とばかりに、あとは力づくで障壁を撃ち貫いてみせて。レインの刀剣の雨と同時にリズのメイスが障壁を打ち鳴らし、割れた障壁とともに遂に一部のプレイヤーたちがラスボスへと肉薄する。背後にある漆黒の大樹から抵抗のように幹の鉄槌が迫るものの、そんなものはむしろ地上を走るプレイヤーの足場にしかなりはしない。

「アスナ!
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