瞬間
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しい時には一緒にいてくれたから、二人だからここまで来れた、と。
「なぁ……教えてくれよ。僕はこれから、どうすればいい?」
だけどごめんね、私は貴方を残して逝ってしまう。一人では堪えられないことばかりだろうけど、それを今までずっと二人だから堪えてこれたものを、貴方だけに味あわせることになってしまう。そんな歌詞が悠那の口から紡がれていくとともに、彼女もまたこの世界から少しずつ消えていく。
「……生きよう」
「難しいことを言うんだな……君も、悠那も」
それでも、貴方は笑顔でいてね。最期に何か、貴方に残してみせるから。それを思い出して、貴方は笑顔で生きていて……そう歌いきった彼女は、次の瞬間にはもうこの世界から姿を消していた。いや、この世界どころかあらゆる世界に、もう『重村悠那』という少女は存在しないのだ。彼女のために流せる最後の涙とともに、崩れ落ちるエイジを見ないようにしながら、俺は誰にも届かない拍手を送っていた。
――こうして、エイジと悠那、そして《オーディナル・スケール》を巡る事件は終息する。誰にも届かない万雷の拍手という幕引きでもって。
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