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SAO−銀ノ月−
瞬間
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てはくれた。

「ユナのマスコット、よね……?」

「ああ」

「……アイン、だ」

 俺の手の中で息も絶え絶えといった様子でいるのは、ARアイドルのユナとともにいる、白い饅頭のようなマスコットだった。ちょうど失念してしまっていた名前を答えながら、ありし日の《血盟騎士団》の格好に身を包んだ青年と、その背後を歩くフード姿の少女が歩いてきていた。

「エイジ……」

「アスナさんたち、SAO生還者から読み取った記憶はそこに保存されている。それを斬れば……全て終わるんだ。全て……」

 エイジが顔を伏せながらもそう語りだしたとたんに、俺の手の中でぐったりとしていたマスコット――アインが暴れだして抜け出すと、そのままエイジの前の床に着地した。それはどうにかして逃げようとしているのではなく、せめてエイジの手で殺してほしいと懇願しているようでもあって。

「っ……!」

「エーくん、まだ私もいるよ……一緒に」

 それはもちろんエイジ当人にも伝わったらしく、そんなアインに対して怯えたように後退りしてしまうが、その手を悠那に握られると、驚愕によってその場に留まっていた。ユイによって《SAO》のアバターとなった悠那も、もはやARの存在ではなく触ることが出来るのだろう。

「ありがと、ショウキさん。エーくんを止めてくれて。あとはさ、私たちが終わらせるだけ」

「ああ……終わらせよう。二人で」

 それでも触れる悠那の手は仮想のものに過ぎないが、二人は手を重ね合わせながら剣を引き抜くと。何の抵抗もせずに斬撃を受け入れたアインに、吸い込まれるように炸裂すると、今度こそ《An incarnate of the Radius》は完全に消滅した。

「あ……」

 アインが消え去った後には、幾つもの黄金の光が飛び散っていった。その中でもリズにアスナ、レインの前には金色の飴玉のようなものが現れ、キリトの前には武骨な大剣が抜き身のまま現れていた。金色の飴玉はどこか違う世界にも飛び散っているのを見るに、恐らくはアレが《SAO》の記録なのだろう。キリトにもたらされた大剣は、キリト本人が得心がいったように握っていた。

 そうしてアインクラッド第百層《紅玉宮》もまた、その存在を保てないとばかりに消えていき――

「…………」

 ――気づけば俺たちは、現実のライブ会場へと戻ってきていた。こちらはまだ旧SAOのボスが《オーディナル・スケール》のプレイヤーと戦っており、無意識に椅子から立ち上がって武器の柄を握ってしまうが、それは無用だと気づくのに時間はかからなかった。

「キリトくん……!」

 未だに目覚めていないキリトが、《SAO》の時の姿のままでライブステージの中央に立っていた。その手には《An incarnate
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