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SAO−銀ノ月−
瞬間
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を失ったラスボスは頭を垂れ、槍を杖のようにして何とか立っているように見せかけた状態だった。

「道を開けろ! ――二人に巻き込まれんぞ!」

 そんなクラインの警告とともに、ラスボスに引導を渡さんとキリトとアスナが幹の上を疾走する。両足を失ったとはいえラスボスにはまだ抵抗する術があり、まずはキリトたちを睨み付けるように眼光を向ける。

「キリトくん!」

「ああ!」

 対処の為にはそれだけの応答で充分だとばかりに、アスナは少しだけ速度を落としてキリトの背後に位置すると、キリトは漆黒と純白の二刀を構えてそのまま突進する。そんな二人を迎撃するかのようにして、ラスボスの真紅の瞳からレーザーが照射される。

「ッ!」

 それに対するキリトは二刀を交差した防御の構え、二刀流ソードスキル《スペキュラー・クロス》を構えると、真紅のレーザーはあらぬ方向へと弾かれていく。そうしてレーザーを防ぐキリトを飛び越えると、アスナが細剣を突きの体勢――いや、見覚えのある構えを取った。

「……今の私に、出来ること……!」

 十一連撃OSS《マザーズ・ロザリオ》。この世界で唯一無二、アスナにのみ使えなくなってしまったソードスキルを、アスナは惜しみなくラスボスに叩き込んでいく。自らで設定した動作に手動で合わせるというOSSのシステムからして当然のことだが、俺たちがよく知る『彼女』とアスナの剣舞は全く同じもので。

 ――まるで、傍らに『彼女』もいるかのような――

「スイッチ!」

「うぉぉぉぉぉぁぁッ!」

 そして十一連撃を放ち終えたアスナと位置を入れ換えて、キリトの二刀もまた輝きを放っていた。烈拍の気合いとともに放たれる十六連撃《スターバースト・ストリーム》は、その一撃一撃が必殺の威力を込めてラスボスに炸裂していき――十六連撃の全てを受けきった後に、もはや《An incarnate of the Radius》は、この世界に存在を許されることはなく。

 悠那の《吟唱》が終わるのと同時に、《An incarnate of the Radius》はポリゴン片となって消えていった。

「ふぅ……ん?」

 割れんばかりの歓声がプレイヤーたちの間で鳴り響き、どこから来たかも構わずにお互いの健闘を称えあって。そんな微笑ましい光景に、自分もリズのところに行こうと思ったその時――ポリゴン片の隙間に、そいつは落ちていた。

「ショウキ! ……どうしたの?」

「いや……こいつは」

 こちらに駆けつけてきてくれる《SAO》の時と同じエプロンドレス姿のリズに、《An incarnate of the Radius》が消え去った場所にいた、ソレを抱えながら見せてみると。リズの表情にも疑問符が浮かび上がったが、それでも答え
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