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SAO−銀ノ月−
瞬間
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もきりがない状況でラスボスに近づくことが出来ず、その隙にラスボスの背後にあった漆黒の大樹が純白に変わっていく。

「まずい! 回復されるぞ!」

「撃って!」

 漆黒の大樹が幹による攻撃でこちらを滅ぼす力ならば、純白に変化した大樹はラスボスを癒す力。そこから垂れる水滴はラスボスのHPを全回復させる力があり、キリトの警告を受けて事態を察したアスナが、すぐさま《GGO》のプレイヤーたちに指示を出すが、ラスボスの周囲の地面が浮き上がっていく。

「うぉ……!」

「させっか!」

「っ!」

 浮かび上がったところを剣で追撃したラスボスに対して、クラインにリーファが二人がかりで弾くことで難を逃れていたが、とても銃撃が出来る状態ではない。その隙に、純白の大樹から発生したライフを回復する水滴が、ラスボスへと垂れていき――

『ピィ!』

「作戦、成功です!」

 ――ついぞ、ラスボスにもたらされることはなかった。触手を無理矢理に突破したピナが変わりに水滴を受けて、そのダメージをみるみるうちに回復させていく。そのままシリカの誘導に従って、触手が薄い場所から優雅に脱出するピナに邪魔され、純白の大樹は漆黒に戻っていく。連続使用が出来ないともなれば、あとはクールタイムが終わるまでに決められるまでが勝負。

「俺に続け!」

 先陣を切ったユージーン将軍の身体には炎が纏われていて、ラスボスの触手など触れることすら許されずに燃え尽きていく。そのままラスボスに側面から飛翔して近づいたユージーン将軍は、自身が纏うものよりもさらに高出力な炎を纏った《魔剣グラム》をかざし、触手が発生しているラスボスの腰部に向け七連撃OSS《ヴォルカニック・ブレイザー》を叩き込む。無尽蔵の触手の正体は腰部に隠された核だったようだが、相手の防御を透過する《魔剣グラム》には意味もなく、炎の七連撃は核ごと触手の全てを焼ききった。

「ショウキさん、今なら!」

「ああ」

 ラスボスへ近接攻撃を実質的に無効化していた触手が全て焼ききれたことで、触手の残骸と迫る大樹の幹の処理をカバーしてくれるルクスに任せながら、日本刀《銀ノ月》を鞘にしまいこみつつラスボスの足に肉薄する。柄に手をかけながらラスボスの足を注視し、構造上として脆く設定されているであろう、間接の部分へと跳躍し――

 一閃。柄から解き放たれた日本刀《銀ノ月》によって、ラスボスの片足は斬り裂かれポリゴン片となって消滅する。さらにそれとほぼ同時に、もう片足にも一人のプレイヤーが張り付いているのが横目で見えて。

「あはあははははは!」

 その手に持った光剣によるめった斬りと、そのけたたましい笑い声をかき消すほどの量の置きグレネードによって、無理矢理にでもラスボスの足を破壊する。両足
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