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SAO−銀ノ月−
瞬間
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「うん!」

 先頭を走る漆黒と純白の二人のプレイヤーに続いて、ラスボスにプレイヤーからの攻撃が加えられる。確かにラスボスの攻撃はどれも強力ではあるが、その巨大さからどうしても大振りにならざるを得ない。肉薄しながらも縦横無尽に跳び回るプレイヤーたちを狙うのは、実質的に不可能と言っても過言ではない――というのは、ラスボスにも理解出来たのだろう。

「うわっキモッ――」

 純白のマントに覆い隠された腰にあたる部分には、腰の代わりに大量の触手が蠢いていて。それらが近距離に迫っていたプレイヤーたちを襲いだし、鎧を貫通するほどの鋭い刺突と触手による捕縛が開始された。大なり小なり油断していたプレイヤーたちは、突如として現れた触手に多大な被害を被ると。

「うぉぉぉっ!」

「グウェン!」

「あ、ありがと……」

 ユージーン将軍の火炎放射魔法が触手に炸裂するが、どうやら無尽蔵なのか勢いに陰りを見ることは出来ず。それでも触手に捕縛されていたグウェンを、中ほどから触手を断ちきることで救出したが、どうやら捕縛攻撃のダメージも馬鹿にならないらしい。継続的にダメージを与えてくる捕縛攻撃でもそうなのだから、装甲を貫通してくる刺突攻撃の威力はどれほどのものとなるか。

「負傷者はヒーラー部隊まで待避を! ショウキくん、支援をお願い!」

「分かった! こっちだ!」

 それでも戦線が崩壊するほどの一撃にならなかったのは、今なお鳴り響いている悠那の《吟唱》スキルのおかげだろう。チラリとだけ背後に目を向けてみれば、歌姫を守るために奮戦する騎士――エイジの姿が見て取れる。とはいえずっと見ていられる余裕などあるはずもなく、ラスボスによる障壁の回復とともに吹き飛ばされながらも、アスナから鋭い声による指示が向けられる。

「ショウキさん、私も支援する!」

「頼む!」

 追いすがってくる触手は、全身をピンク色で包んだ銃手の少女の乱れ撃ちと、その行動によるヘイト稼ぎによって彼女の方に向かう。しんがりをルクスに任せると、グウェンを始めとする負傷者への攻撃を防ぎながら後退する。

「ショウキさん!」

「カバーカバーカバー!」

「あのゲームのラスボスにこの子達をぶちかませる日が来るとは思ってませんでした!」

 負傷者をシウネーたちヒーラー部隊まで送り届けると、入れ替わるようにシリカに先導された《GGO》の軽装プレイヤーがラスボスに向かっていく。これで最前線の戦力低下も防げるはずだと、俺は幹と幹を跳びながらテッチが槍をパリングしている場所に着地すると、日本刀《銀ノ月》を引き抜きテッチを守るように前に立った。

「一旦下がれ!」

「……すいません、そうさせてもらいます!」

 ラスボスの主武器である槍と剣
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