第四章
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そしてこのシーズンは。
四位だった、しかし勝率は南海時代から遡って十七年振りに五割を超えた。九州のファン達はこのことに喜んだ。
「何か光が見えてきたな」
「そうだよな」
「人が揃ってきてな」
「いい感じになってきたな」
「昔の西鉄みたいになるか?」
「それはないだろ」
流石にとだ、笑って話すのだった。
「あそこまで強くならないさ」
「流石にそれはないか」
「まあ少し強くなったのは事実だな」
このことは間違いないというのだ。
「じゃあいいな」
「ああ、そのこと素直に喜ぼうな」
「そして何時かは優勝だな」
「楽しみにしておこうな」
こんなことを話していた、そして。
このシーズンオフにもだ、根本は動いた。
「今度は工藤か」
「またフリーエージェントで獲得したな」
「石毛も取ったし」
「西武からどんどん人が来るな」
「ドラフトで駒澤大学に行くつもりだった城島も獲得したしな」
「何か凄くなってきたな」
「前よりもな」
皆このシーズンオフの根本の動きにも舌を巻いた、だが彼等はおろか球界の全ての者が腰を抜かさんばかりのことをだ、根本はしてしまった。
オーナーの中内もだ、その話を聞いてまずはこう言った。
「絶対に無理やろ」
「そう思われますか」
「幾ら根本さんでもや」
その根本本人に言うのだった。
「それでは無理やと」
「いえ、出来ます」
根本は中内に確かな声で言い切った。
「必ず」
「それ出来るんやな」
「はい、私も歳です」
「それをわかって来てもらったけどな」
「ですからここはです」
「君はフロントに専念してか」
「彼に監督をやってもらいます」
ダイエーのそれにというのだ。
「是非」
「それはわかったけど」
それでもとだ、中内は果断な彼にしては珍しく躊躇を見せて応えた。
「幾ら何でもや」
「彼はですか」
「来んやろ」
「それをやってみます」
「どうしてもか」
「任せて下さい」
「根本さんがそこまで言うなら」
中内もだ、ここで遂にだった。
意を決してだ、根本に言った。
「任せるわ」
「はい」
根本は微笑んで応えた、そしてだった。
その人物のところに自ら赴いてだ、こう言ったのだった。
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