第一章
[2]次話
老将
その人事を聞いた時野球ファンの誰もが耳を疑った。
「根本さん!?」
「あの根本睦夫さんか?」
「もう西武のフロントにいたんじゃないのか」
「前は監督だったが」
「西武に骨を埋めると思っていたんだが」
「何でまただ?」
「ダイエーの監督になるんだ」
「もう歳じゃなかったか?」
こうした意見も出た。
「七十近いだろ」
「それで監督か」
「大丈夫か?」
「ちゃんと監督務まるのか?」
「長い間フロントにいたし」
「ダイエーも何考えてるんだ」
「中内さんもヤキが回ったんかね」
オーナーの中内正氏への疑問の声も出ていた、ダイエーホークスの監督に根本睦夫が就任すると聞いて多くの者が思った。
しかしだ、実際にだった。
根本は西武のフロントを出てダイエーの監督に就任した。実際にそうなったことにやはり多くの者がどうかと思った。
「本当に大丈夫かね」
「あの人歳だろ」
「監督やって最下位多かったな」
「広島でも西武でも最下位だったぞ」
「采配はあまり、だよな」
「どう見てもな」
「ダイエーも何考えてるんだか」
またフロント批判の言葉が出た。
「もう長い間現場から離れていたのに」
「大丈夫じゃないだろ」
「これはダイエーの優勝はないな」
「まだ当分西武が強いな」
「今の西武はどうしようもない」
「九連覇の時の巨人以上かもな」
とかく西武が強かった、常に日本シリーズに出て勝つ。胴上げといえば西武の水色のユニフォームの時代だった。
それでだ、西武についてこうした意見も出ていた。
「もう西武の胴上げ見飽きたな」
「強過ぎるからな」
「普通に勝って優勝して」
「西武が勝つに決まってる」
「十年位そうだからな」
「もう飽きた」
「西武の胴上げは見たくないな」
こうした意見も出ていた、少なくともダイエーがどうなるかとは多くの者は思っていなかった。しかしそれでもだった。
野球をよく知る心ある者達、少なくとも戦後日本のモラルの腐敗と非常識化の象徴であり世界に悪とは何かを知らしめている巨人だけ見ていればいいとう様な無知蒙昧な輩共とは違う彼等はこの人事を見て言った。
「ダイエーやったな」
「よくあの人を連れて来たな」
「ここからあのチーム変わるな」
「ああ、かなりな」
「西武の次はダイエーか」
「これで西武の黄金時代が終わる」
その無敵、何度も悪の権化巨人に正義の鉄槌を下したこのチームのそれもというのだ。
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