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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
402部分:第三十二話 孔明、妹を得るのことその十一

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第三十二話 孔明、妹を得るのことその十一

 今にも落ちそうである。落ちればその下は谷底だ。
「あわわ・・・・・・」
「待って、今行くから!」
 ここで孔明は前に出た。無意識のうちにだ。
 そしてその何とか手で止まっている鳳統のその手を掴んでだ。引き上げようとする。
「うう・・・・・・」
「そんな・・・・・・」
「今あげるから」
 全身に力を入れたあまり目を閉じていた。その中での言葉だった。 
 それで何とかあげてだった。ことなきを得た。そして二人でだった。
 橋を超えたその場所で二人並んで座ってだ。弁当を食べながら話すのだった。
「私ね」
「うん」
「ずっと。色々な場所を盥回しにされてたの」
 それが鳳統の過去だった。そうだったのだ。
「親戚のところも。施設も」
「そうだったの」
「けれど。何処も私が何も話さない、動かないって言って」
「邪魔にしたの」
「誰も相手にしてくれなかったし除け者にされて」
 俯いたまま孔明に話す。
「それで水鏡先生のところに連れて来られたの」
「私と同じね」
「そうだったの」
「私も。色々な場所を盥回しにされて」
 孔明もだった。そうされてきたのだ。二人山の中に並んで座って話す。
「それで先生のところによね」
「うん」
 鳳統はさらに話す。
「先生がはじめて優しくしてくれたから」
「それも私と同じなのね」
「貴女が先生と親しくしてるのを見て」
 それでだというのだ。
「先生を取られると思って」
「私も。そうなったら」
 その場合はというのだった。
「多分。同じ気持ちになってたわね」
「そうなの」
「御免なさい」
 孔明は鳳統に対して謝罪した。
「このことに気付かなくて」
「えっ・・・・・・」
「鳳統ちゃんに嫌な思いさせて」
「それは・・・・・・」
「私、浮かれてたの」
 そして自分のことを話すのだった。
「ずっとね。妹ができたと思って」
「妹・・・・・・」
「そう、鳳統ちゃんをそう思って」
「そうだったの」
「それに先生に久し振りに会えて」
 それもあった。
「それでだったの」
「本当に御免なさい」
 鳳統に対して謝罪の言葉を述べた。
「私・・・・・・本当に」
「いいわ」
 鳳統はその孔明に対してこう返した。
「もう」
「有り難う」
「じゃあこのお弁当食べたら」
 鳳統からの言葉だった。
「帰ろう」
「そうね。もう夕方だし」
「皆待ってるし」
 それもあった。
「それじゃあね」
 こう話してだった。二人で並んで先生の屋敷に帰ったのだった。

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