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盲導犬
第五章

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「何かをする為にはね」
「そういうことだったんだね」
「そうよ、かく言う私だってお家の中で奥さんにあれするなこれするなって言われてるのよ」
「訓練を受けてるんだ」
「悪さをしない訓練をね」
 それをというのです。
「いつも受けてるのよ」
「ミミさんもなんだ」
「あんたよりはずっと楽な訓練でしょうけれど」
「そうだったんだね」
「訓練も必要ってことよ」
 またこう言ったミミでした。
「だから受けさせられるの」
「立派な盲導犬になる為に」
「目の見えない人を助ける為のね」
「誰かを助ける為には訓練も必要なんだね」
「そういうことよ、そしてご主人も奥さんも娘さん達もそのあんたを頼りにしてるから」
 立派な盲導犬であるプリンスをというのです。
「これからも頑張ってね」
「そうしていくね」
 プリンスはミミの言葉に答えました。
「絶対に」
「頼りにされているんだからね」
「訓練を受けただけあって」
「その訓練だけのものは備わってるから」
 しっかりとです、ミミはプリンスを右の前足で指し示してお話しました。
「これからも頑張ってね」
「そうしていくね」
 プリンスは笑顔で応えました、そしてです。
 自分のところに来た大槻さんと一緒にです、外出しました。奥さんも一緒ですがしっかりと案内してくれるので。
 奥さんは大槻さんにです、笑顔で言うのでした。
「プリンスは今日もしっかりとね」
「僕を守ってくれているんだね」
「そうしてくれているわ、だからね」
「プリンスを頼りとして」
「いきましょう」
 目の見えないご主人に笑顔で言うのでした、今も案内してくれている彼を頼りにして。プリンスはそんなご主人達のお話を聞きながら自信と誇りを以て案内するのでした。訓練で完全に身に着いた盲導犬の動きを以て。


盲導犬   完


                       2016・12・14
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