第四章
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女は進んでいき源信は離れてついていく、そうして日が暮れた時にだ。
女は山深くにあった山門のところまで来た、館の様な鉄の頑丈なものだった。その山門の前に来るとだ。
女は門を叩いた、すると恐ろしい声が返って来た。
「遅いな」
「すいません」
女はその声に謝った。
「遅れて」
「そしてだ」
「人をですか」
「連れて来たか」
「いえ」
女はその恐ろしい声に答えた。
「今日も」
「連れて来なかったのか」
「左様です」
「言ったな」
恐ろしい声は女に問うた。
「ここを出る時に」
「はい、若し今日も人を連れて来なかったならば」
「御前を喰らうとな」
「確かに聞いていました」
「覚悟は出来ているな」
声は女にさらに問うた。
「それならば」
「はい」
「容赦はせぬ、者共来い」
声は呼んだ、そしてだった。
門から大勢の鬼達が出て来た、どの者も大柄で毛深く恐ろしい顔をしている。頭には一本か二本の角があり身体の色は赤や青と様々だ。
その者達が恐ろしい形相で口や目から火を出しつつ出て来てだった。
女をその場で捕まえ瞬く間に手足を引き千切り喉に喰らいついてだ、八つ裂きにして滴る血を飲み肉を喰らって骨も残さなかった。源信はその恐ろしい光景を瞬きもせずに震えながらも最後まで見た。
鬼達が門の中に戻った時女がいた場所には血だけが残っていた、しかしその血もまだ降っていた雨で洗い落とされ何も残らなかった。
源信は一人比叡山に戻ってだ、若い僧侶達に言った。
「すぐに供養の用意を」
「どなたの供養でしょうか」
「一体」
「帰り道で会った女の方の」
女が鬼の眷属であったことは隠して話した。
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