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猫可愛がり
第二章

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「ペコ最近太った?」
「シロもね」
 亜美も気付いた。
「何かね」
「最近二匹共太ってきたわね」
「それでミミもね」
「太ってきたわね」
「そうね」
 母の真澄も言う、まだ幼さが残る皺がない整った顔で。
「特にミミね」
「そうよね、うちに来た時はガリガリだったのに」
「身体も小さくて」
「それがね」
「結構太ってきたわよね」
「ジャンプも重そうで」
「そうよね」
 母の言葉も受けてだ、佐和と亜美はあらためてミミを見て話した。
「前はあんなに軽やかだったのに」
「今ちょっと重い感じ?」
「お家に来てから太って」
「そうなってきたかしら」
「家族皆で甘やかしてるからかしら」
 その原因についてだ、真澄は言った。
「ペコもシロもね」
「それでミミも」
「そうなのかしら」
「そうかもね、けれどね」
 真澄は困った顔でだ、娘達にこうも言った。
「仕方ないわね」
「家族全員で甘やかしてるから」
「自然とね」
「太るのよね」
「そうなるのよね」
「特にお父さんがね」
 真澄は夫の佳正のことも話した。
「猫を凄く甘やかしてるから」
「そうよね、お父さん猫が大好きで」
「だからペコとシロも拾ってきたし」
「ミミも拾ってきたから」
「それを考えたら」
「もううちの猫達が太るのはね」
 佳正が率先してだ、御飯を好きなだけ与え暖かい家の中でぬくぬくと好きなだけ寝かしているからだ。そして怒ることもなくストレスを与えることもない。
「仕方ないかも知れないわ」
「じゃあ諦めるしかないの?」
「うちの猫達が太ることは」
「そのことは」
「もう当然のこととして」
「じゃあ厳しく出来るの?」 
 真澄は娘達に尋ねた。
「ミミ達に」
「ううん、そう言われると」
「ちょっとね」
「私達にもね」
「出来ないわ」
「そうでしょ、ましてやお父さんはね」
 一家の中でも特に猫好きの佳正はだ。
「無理よ」
「じゃあ結局このまま?」
「猫ちゃん達は太っていくの」
「それも三匹共」
「そうなるの」
「そうなるわ」
 こう答えるしかなかった、真澄にしても。
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