399部分:第三十二話 孔明、妹を得るのことその八
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第三十二話 孔明、妹を得るのことその八
「冷えた御飯でもだ」
「食べるよな」
「ええ」
「この世界の中国は私達の世界の中国とは違うのかしら」
「そうしたところは」
いぶかしみながら考える神楽とミナだった。
「トウモロコシやジャガイモもあるし」
「唐辛子もあるし」
「そういうのは普通にあるよ」
馬岱もその通りだと話す。
「この国はね」
「そういえば黄河流域でもお米が採れるし」
「そこも私達の世界とは違うのね」
このことを感じ取った二人だった。
そんな話をしながら皆で食事を食べる。ここでだった。
先生がだ。孔明を見ながら笑顔で話す。
「朱里はどんどん料理が美味しくなるわね」
「有り難うございます」
孔明はその先生の横で笑顔になる。そして鳳統は俯いている。実に対象的だった。
そしてだ。次の日には。
鳳統は厨房にいる先生の袖を引っ張って言うのだった。
「あの、先生」
「どうしたの?雛里」
「今日は」
「あっ、そうだったわね」
先生も鳳統に言われて思い出した顔になる。
「今日は山に行って薬草を摘む日だったわね」
「一緒に」
先生を見上げて御願いするのだった。
「だから」
「けれどね」
しかしであった。ここで先生は言うのだった。
「今日は駄目なの」
「駄目って・・・・・・」
「お客さんがいるから」
そのお客さんが孔明達であることは言うまでもない。
「だから今はね」
「そんな・・・・・・」
「いい娘だから聞き分けて」
母親の顔で鳳統に言う。
「わかるわよね」
「あうう・・・・・・」
「あっ、それなら」
丁度その場にいた孔明がここで言ってきた。
「私が一緒に行くわ」
「えっ・・・・・・」
「そうね、朱里が一緒ならね」
先生は彼女の申し出を聞いて穏やかな笑顔になる。
「御願いできるかしら」
「はい、わかりました」
明るい顔で応える孔明だった。そうしてだった。
鳳統に顔を向けてだった。彼女に問うたのだ。
「鳳統ちゃん、それでいいよね」
「私は・・・・・・」
「じゃあ行こう」
俯いている彼女の気持ちは気付かないうちにの言葉だった。
「一緒にね」
「うう・・・・・・」
こうしてであった。孔明は鳳統と一緒に薬草を摘みに向かった。その時だった。
微笑んでだ。そうして呟いた。
「妹、かあ」
鳳統についてこう考えていた。しかしであった。
その鳳統はだ。暗い顔であった。その顔で孔明の後ろについて行っていた。その姿は今日も外で稽古をしている関羽達にも見えた。
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