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歌集「春雪花」
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 風吹かば

  匂ふは露の

   濡れ落ち葉

 想ふが故に

   身もふりにける



 窓から風が吹き込むと、ふとどこか懐かしいような匂いがした…。

 夕べに吹いた強い風に、多くの青い木の葉が落ちていたが…きっと、それに小雨がかかって香っているのだろう…。

 こうして彼を想い眺める梅雨の空…雨は止まず、私の身は虚しく老いてゆくだけなのだな…。



 誰そ居ぬ

  影もなかりき

   君なれば

 心乱るる

    身の侘しけり



 彼は今…一体誰といるのだろう…。

 私は会うことも儘ならならず…こうして想うことしか出来ない…。

 それ故に…いつも彼のことを想い、心がざわめいて…。

 そんな自分がただ侘しくて…恨めしく思ってしまうのだ…。




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