0082話『記念の準備と榛名との関係』
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私は榛名にはひた隠しにしているけどいつも榛名の身体を使ってしまっていて罪悪感を感じている。
いつか、榛名にこの体を返す時が来るのだろうか……?
でもそうなると私はどうなってしまうのか……。
そしてもしそんな事が起きて私という自我が消失してしまったら残された艦娘達はどうなってしまうのか……?
いつもそんな事を暇があったら考えている。
その時だった。
実際に触れられるわけではないんだけど榛名は私の額に指を置いて、
《提督……? 今何か暗い事を考えていましたよね?》
「………」
《だんまりは肯定と判断しますよ》
「すまない……」
《謝る事はありません。おそらく提督は私の今の現状を変えられない事に対して苦しんでいたんですよね》
「ああ……。私は、できるなら榛名にこの体を返したいと何度も思っている。だけど……同時に怖いんだ」
《怖い、ですか……?》
「ああ。もし榛名にこの体を返す事が出来たとしてそうしたら私の意識はどこにいくのだろうな……と。
そんな誰にも理解してもらえない悩みがあるんだ」
私は隠していることを一つ榛名に開示した。
これで榛名との関係は壊れるとは思っていないけど、だけど榛名の心に闇を抱えさせてしまうかもしれない。
もしそうなったら私は申し訳が立たない。
そんな時に榛名は安心するような笑みを浮かべて、
《大丈夫ですよ……提督は消えません。私も、今のままでもいいと思っているんです。
だって、提督の事をいつでも感じることが出来るんですから……慕っている金剛お姉さま達には悪いですけどこれだけは榛名の独り占めの特権なんです》
そう言って榛名は意地悪い笑みを浮かべながら舌を出して場を濁していた。
榛名はそれでいいかもしれないけど……。
だけど私は……ッ!
でもそんな私の葛藤も分かっているようで、
《知っています……。提督が前からその件に関して苦しんでいた事は。だけどいいんです。
さっきも言いましたけど私は提督の為ならこの体は素直に差し出します。
もし私の身体から提督がいなくなってしまって消えてしまったら私はきっと自身を許せなくなりますから》
そして今度はすまなそうな表情を浮かべる榛名。
その表情だけでもう私は押し黙る他なかった。
悩みは尽きないけど、榛名も承知しているなら私だけがうじうじしていたらダメだよな。
「すまない、榛名。いらん心配をさせたな」
《いえ、榛名は大丈夫です》
「だけど約束させてくれ。いつか榛名を自由にさせてやりたいという思いは私の本心だ。だからそのためならどんな苦労も厭わない。だって、私は榛名の事がす、好きだから……」
《て、提督……榛名、嬉しいです》
思わず告白してしまったけどそれで榛名は嬉しいのか涙を零していながらも笑顔を浮かべていた。
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