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強欲探偵インヴェスの事件簿
ドア越しの攻防
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不良丸出しの姿が彼の素の姿である。

「しかも魅了眼鏡《チャーム・グラス》なんて骨董品まで持ち出しやがって。アレは違法だろうが」

「うるせぇ、バレなきゃいいんだよ」

 インヴェスの掛けていた眼鏡、あれも違法な魔道具……いわゆるマジックアイテムだったのだ。その名も魅了眼鏡《チャーム・グラス》……装着し、視線の合った相手を状態異常である魅了状態に陥れる凶悪なアイテムである。当然ながら相手を魅了状態にして虜にするなど違法行為であり、捕まれば一生牢屋暮らしでも可笑しくないレベルの犯罪である。しかしこの男、悪びれる様子もなく平気で違法なアイテムを使う。




 そもそもインヴェスは人との交渉において、1つの考え方に基づいて行動している。それは、

『頭は弁護士、心は詐欺師、歩く姿はスケコマシ』

 という物で、脳内は常に自分の利益を最優先し、相手を地獄に落とす事すら厭わない。そして心の内は相手には絶対に見せず、常に騙し騙されの戦場にいる気構えを持つ。そして四六時中女を口説き落とすのに余念がない。ある意味クズ過ぎていっそ清々しさすら感じる。

「大体よぉ、ハンターやってるエルフなんざ、欲しがりそうな物好きは国中ゴマンといるぜ?そん中から探し出せってのか。無茶言うなぁこの筋肉ダルマが」

 ふし〜っ、と吐き出した煙をハリーの顔面に吐きかけるインヴェス。元からこの依頼を受ける気がないのだ。

「かなり困難な依頼なのは解っている。だからこそお前に会わせる為に連れてきた……多少のリスクは覚悟の上でな」

「へぇ……?俺は報酬次第では受けてもいいぜ?」

 インヴェスの目が眼鏡の奥でギラリと光る。それは獲物を見つけた猛禽の目に似ていた。

「彼女の予算は出せて15万ゴッズが限界だそうだ」

「15万ん?話になんねえな、帰れ帰れ」

 しっしっ、と追い払うように1ゴッズが日本円の1円と同価値と思ってもらって良いが、如何せんこの世界は日本よりも物価がかなり低い。15万ゴッズというの一般の5人家族が普通に暮らして3ヶ月は暮らせる程度の金額なのだが、それでもインヴェスは足りないという。

「俺様ぁあくまでも『探偵』だからなぁ?調査してそこでハイ、終わりなワケだ。追加の『仕事』を頼むなら……別料金ってのは解ってんだよなぁ?元社員のハリー君よぉ?」

「解っているさ、もしも彼女の相棒が何者かによって拐われていた場合……救助も要請する」

「ほ〜ぅ、報酬は?」

「前金で60万、成功報酬で140万」

「占めて200万ゴッズか……悪くない。契約成立だ」

 2人はその場で握手を交わす。口約束であり、契約書の類いは交わさない。ハリーは元相棒であるからして、目の前の男の質はよく理解していた。目の前の男は人の
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