精神の奥底
67 手負いの星たち
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気づいた。
「図書室」と辛うじて読み取れるプレートの部屋で、シドウはゆっくりと中に入った。
すると衝撃の光景がシドウの目に飛び込んでくる。
「何だよ、こりゃ」
扉の向こうは図書室では無くなっていた。
天井も本棚も何もかもがメチャメチャでほとんど外にいるのと変わらない。
それに一帯が焦げているにも関わらず、凍りついている。
間違いなく何かが想像もつかないことが起こったことを物語っていた。
シドウはため息をつきながら、ポケットからAQUOSを取り出して電話を掛ける。
「……オレだ」
『あぁ、シドウ。まだ生きてるようで何より』
電話の相手はシャムロックこと妃緑ミツバだ。
「奴さん、もう撤退した後だったよ」
「それは残念。何か手がかりは残ってない?』
「何枚か書類らしきものはあるようだが、ほぼ燃えカス状態で読み取れない」
『ん?燃えカス?どうなってるの?』
「いや、どうやら電波人間同士で喧嘩したらしい。その結果、火事になったようだ」
『図書館、それも木造、よく燃えたでしょうね』
「あぁ。だがようやくいつものもお前に戻ったようで何よりだ」
『こっちもある意味、別人として生きていた3年だったからね』
ミツバはいつもと違って真面目な口調だった。
本来、ミツバは大真面目な人間だ。
大真面目過ぎてどこまで本気なのか分からない程に。
しかし久しぶりに命のやり取りをせざるを得ない場所に戻ってきたことで、さっきまでの異様なテンションは別人のように消え去り、本来のミツバが取り戻されたようだ。
「それより手がかりが灰になっちまった。他に手がかりは無いか?」
『無い。恐らく、もう店じまいだと思う』
「店じまい?」
『シドウの読み通りなら、計画がご破算になってもまだ商売しているのは他に目的があるからでしょ?』
「もしくは続行できる他の手段を見つけたのか……」
『どちらにせよ、絡んでくるのはユナイトカードと武器。計画を進める上でこれを広める必要があった』
「あぁ。確かユナイトカードが中継器の役割を果たし、Valkyrieの持つアンテナから一斉に司令を与えて街中を混乱させる精神干渉波を広めるとか…良く分からなかったが」
ミツバはシドウが出ていった後に独自に考えた持論を展開していく。
『本来、計画はもっと早い段階で実行できたけど、その矢先にスターダスト、いやシンクロナイザーの乱入のせいでご破算になった』
「あぁ」
『つまりその段階で既に計画は実行できる状態、ユナイトカードは既に一定のノルマはクリアできるレベルで街にバラ撒かれていた』
「じゃあ、いつでも商売自体はやめることができたわけか。なんで商売を続けていたんだ?」
『もちろん利益が出るから。もしくは何らかの保険か』
「保険?」
『計
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