暁 〜小説投稿サイト〜
流星のロックマン STARDUST BEGINS
精神の奥底
67 手負いの星たち
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ていない。
仮に気づいたとしても、工事中と書かれた看板が建てられていれば誰もが工事だと決めつけて疑うことをしない。
誰もが銃やナイフといったものを街にばら撒くような犯罪組織が暴れたというところまで考えが及ばないのである。
むしろ空が陰り始めている上に気温が他よりも低くなっており、心地よく感じている有様だった。
しかし再びその場に銃を持ち、再び導火線に火を点けかねない男が入っていく。

「ここか」

ヘルメットを外してタンクに乗せると、ゆっくりとバイクを降りる。
そしてワルサーPPK/Sがホルスターに入っていることを確認した。

「曇ってきたようだが、それにしても少し寒過ぎやしないか……?」
『シドウ、周囲に硝煙反応アリ。注意してください』
「あぁ、にしても」
『確かに先程から移動してきた場所に比べ、気温は10℃近く低いようです』
「そのくせに焦げ臭い。生命反応はどうだ?」
『それが……戦闘によるノイズの影響かスキャンできません。』

やってきたのは、暁シドウだった。
Valkyrieが拠点としている可能性のある場所のリストからここへ辿り着いたのだ。
リストに載っている場所はここで最後、これまではほぼ痕跡すら掴めなかったが、どうやらここは当たりらしい。
熟練の腕を持つシドウだからこそ感じる緊張感で胸が張り裂けそうになる。
PPK/Sを引き抜くと、正面玄関の前に立った。

『シドウ、まずは周囲を偵察すべきでは?』
「時間が無い。正面から行く」
『…ご武運を』

中に入ると更に気温が下がった。
間違いなくここで何かあった。
だが周囲の住民は何事も無かったかのような顔をして歩いていた。
そのギャップに首を傾げながら、一歩、また一歩と奥へ進んでいく。
今のシドウには右手のPPK/Sがいつも以上に頼りに思えた。
アシッドとの電波変換はやはりまだ身体に掛ける負担が大き過ぎる。
こうも長時間・高頻度で変身していられるものではない。
電波変換は最後の手段だ。
なんとかPPK/Sと体術だけで乗り切りたい。
願わくばその2つすらも用いずに乗り切りたい。
シドウは周囲に神経を尖らせながら進む。
しかし誰の気配も感じない。

「気配が無い」
『ハイ。しかし十分注意してください』
「ん?これは…スス?」

シドウは木材でできた床が焦げ付いている事に気づいた。
よく見ると壁や天井にも焦げ付きが見られる。
奥へ続いているようだ。

「火事があったのか?」
『そのようですが、既に鎮火しています』
「誰かが消防も呼ばずにご丁寧に消してったのか?」
『それより先は一酸化炭素が充満している可能性もあります!」
「了解。ん?扉が開いて…」

シドウはすぐそこにあった扉が外れて倒されているのに
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