精神の奥底
67 手負いの星たち
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「兄さん!!」
追いかけてきたメリーたちもすぐに彩斗を見つけた。
本来なら走り比べれば彩斗には到底及ばないし、彩斗が本気で隠れたら見つけるのには相当な時間を要するだろう。
それでもすぐに見つかったのは、彩斗が心身ともに疲労していた為に遠くまで行けず、隠れる余裕が無かったからに他ならない。
小川の手前でコスモスに囲まれながら、うつ伏せになって倒れている。
真夏を思わせる炎天下の中でも季節通りに色づいている紅葉の葉がパラパラと彩斗の上に落ちた。
「アイリスさん!!こっち!!」
少し遅れてアイリスと七海も駆けつける。
すぐに掛け寄り、身体を仰向けにした。
その表情の安らかさにその場にいた誰もが最悪の事態を予想する。
アイリスはすぐに彩斗の肩を叩き、反応を見た。
「サイトくん?サイトくん!?分かる!?」
「沢城くん……どうしたの?あれ…冷たい……?」
「……息をしてない!」
アイリスは耳を彩斗の口に近づけたが、呼吸が止まっている。
更に脈もほとんど確認できない。
「兄さん!」
「大変!救急車を!!」
「待って!救急車はダメ!」
「何で!?」
「それは……もう気づいているかもしれないけど……彼は……」
アイリスは救急車を呼ぼうとする七海を制止する。
ディーラーに育てられた『ロキの子』である彩斗はただでさえ病院に掛かるのは危険なのだ。
更に今は以前と違い、廃工場での一件、そしてついさっきのショッピングモール裏での一件がある。
もし病院で何か勘付かれれば、警察に伝わる可能性も無いとは言い切れない。
七海も彩斗が普通の少年でないことは薄々は気づいていた。
深くは考えず、アイリスに従った。
「……分かった。どうしたらいいの?」
「あなたは私の携帯で助けを。メリーちゃんは人工呼吸を!」
「うん!」
「えっ!?私が!?」
「私の身体はコピーロイドだし……だからあなたが!」
アイリスはコピーロイドで実体化しているに過ぎない。
その為、呼吸はしておらず当然ながら人工呼吸はできない。
そうするとメリーか七海のどちらかに限られる。
メリーが戸惑っている中、アイリスは七海にハートレスから預かったAQUOSを渡す。
「人工呼吸ってどうすれば……」
「顎を持ち上げて気道を確保したら、息を吸い込んで、鼻を摘んだまま2回息吹き込んで!」
「あっ、ハイ!」
メリーはアイリスに言われるままに、人工呼吸を行う。
メリーにとっては彩斗との初めての口づけだった。
そんな中、アイリスは彩斗の白いワイシャツのボタンを外していた。
「ふぅ……ふぅ……アイリスさん!」
わけも分からぬまま、大きく2回息を吹き込んだメリーはアイリスの顔を見る。
それを確認したアイリスは彩斗の胸
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