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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第六十二話 蛟竜
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北するところを私は想定することが出来ません。それほどの名将です。そして彼の周りには彼を助ける有能な人間が集まりつつある。徐々に彼は力を蓄えつつある」
思わず、音を立てて唾を飲んでしまった。英雄とまで言われるヴァレンシュタイン准将がそこまで言うなんて信じられない!
「でも今は同盟が圧倒的に優勢でしょう。軍事的なダメージだけじゃない、貴官の謀略により政治的にも帝国は混乱している。それにフリードリヒ四世が亡くなった……」
ヤン准将が説得するような口調でヴァレンシュタイン准将に話しかけている。ミハマ少佐は黙って聞いているけど少し表情は暗い感じだ。ヤン准将に同意していない?
「帝国がどうなるか、はっきりと予測できる人間は居ないでしょう。余りにも不確定要素が多すぎるし、判断材料が少なすぎる。……混乱しているからこそ混乱を収める人間が必要とされる。場合によっては蛟竜雲雨を得れば、終に池中の物に非ざるなり、そんな事になるかもしれない……」
溜息交じりの口調だった。“蛟竜雲雨を得れば”と言うのは良く分からなかったけど多分ミューゼル中将の事だと思う。
その後、ほとんど会話が無いままに食事は終わって散会した。
“蛟竜雲雨を得れば、終に池中の物に非ざるなり”
ヤン准将に聞いたら人類が地球を唯一の住処としていたころのことわざだった。小さな水たまりにいる蛟や竜は、雲や雨水を得ると天に上り強大な力を発揮する。それと同様に英雄が好機をつかんで力を発揮する事を言うらしい。ヴァレンシュタイン准将はミューゼル中将を時期を得ていない英雄だと思っているみたいだ。
家に帰る途中、ヤン准将が星を見て呟くのが聞こえた。
「彼だけに背負わせるわけにはいかないか……。確かにその通りだ、ワイドボーン。ヴァンフリートの一時間から目をそらすことはできない……」
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