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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。
0081話『江風と山風の喧嘩』
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く間宮に誘ってやるぞ」
「うっわ。間宮で釣るか。提督もなかなかずる賢い……」
「黙っていなさい江風」
『江風がそこにいるの……?』
「ああ。江風は山風と仲直りしたいって言うから許してやったらどうだ……?」
『それもやだ……あたしの方が時雨姉の事が好きだもん……』
「うん。それに関しては否定はしないよ。だけどさ、私は思うんだ」
『なにを……?』
「ああ。人好きの度合いなんて人それぞれだから比べるまでもないと思うんだ。好きなら好きでその気持ちをしっかりと通せばいいじゃないか? その山風の気持ちは嘘じゃないんだろう……?」
『……うん。時雨姉の事が好きなのは誰にも負けないつもり……』
「それならこうして部屋に閉じこもっていないで堂々と時雨の事が好きだと江風に言ってやればいいじゃないか」
『でも、絶対江風はバカにしてくる……』
「いやいや! そこはバカにはしないって!」

そこで話を聞いていた江風が思わずツッコミを入れる。

「江風だって山風に負けないくらい時雨姉の事が好きなつもりなンだ。だからさ……山風にも提督が言ったように正直に気持ちをぶつけてきてほしい」
『江風……』
「だからさ。出て来いよ?」
『うん……わかった』

それで山風は扉を開けて外に出てきた。
それで海風も嬉しかったのか山風に抱きついていた。

「よかったわ。山風、もう江風と喧嘩しちゃだめだからね?」
「……うん。海風姉、わかった」
「うんうん。よかった。これで私のお役は御免かな?」
「ン。ありがとな提督。少しは役に立ってくれてあンがとな」
「はは。それならよかった。それじゃ私はちょっと野暮用があるんで先に行かせてもらうよ。もう喧嘩するなよ」
「わかってるって!」
「うん……我慢する。提督も、ありがとう……」

それで和気あいあいな空気の三人を見ながらもその場を後にして少しして曲がり角を真っすぐ通る際に、

「……愛されているな、時雨」

私はそう独り言のように呟いた。
そのまま通り過ぎる背後で小さい声で、

「気づいていたのかい……? 恥ずかしいな……。でもありがとう。提督……」

という時雨の言葉が聞こえてきたが気づかないふりをしてやってあげた。
これも優しさだよな。



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