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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第三十二話 それぞれのかたち
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を持つフェイトはその辺が妨害になることはない。
なので竜巻に接近するのは難しくないだろう。
だが、竜巻はそれ自体がジュエルシードの持つエネルギーの渦だ。
甘い攻撃では弾かれてしまうし、ダメージを与えることすら難しいだろう。
彼女と戦ったことがあるから分かることだけど、フェイトは破壊力の高い魔法をそれほど多く保有していない。
あるとしても、それは長い詠唱をして出せる魔法で、そんなことをしている間に竜巻からの攻撃を受けてしまう。
ならば、もう一人の相方。
オレンジ色の髪をした獣人……使い魔らしき女性の協力が重要だ。
彼女がバインドやプロテクションでフェイトの魔法を発動しやすいようにサポートすればいい……のだが、流石に七つの竜巻を一度にバインドするのは無理だろう。
イル・スフォルトゥーナが協力するとは考えられないし、状況は厳しいというのが率直な感想だ。
……だけど、俺が行けば。
《ダメですよ》
「まだなんも行ってないんですけど!?」
《現場に行きたがってるのはわかってます。 もう一度念を押して言いますが、ダメですよ?》
「……はい」
察しのいいアマネから厳しい言葉を重ねられ、押し黙るしかなかった。
俺は今、これを見ているだけしかできないのか。
もどかしさをこらえながら見つめていると、曇天の空から一筋の光が差し込んだことに気づいた。
光は徐々に規模を広げ、分厚い雲に風穴を開けた。
そこから舞い降りる一人の少女に、俺は言葉では言い表せないような高揚感が生まれた。
「そうか……いたんだ、もう一人」
近くにいたはずなのに気付けなかった。
そうだ、もう一人いたんだ。
あの絶望的な状況を撃ち破れる力を持った魔導師が、もう一人。
俺がそれを、誰よりも知ってたはずなのに……どうして気付けなかったんだ?
《そうです。 マスター、あなたが育て上げた魔導師が一名。 あなたの背中を追いかけてくれた魔導師の一人が、この状況を打破できる》
アマネから確信のある言葉が放たれ、俺は深く、強く頷いた。
「アマネ、彼女に……高町と通信を繋げて欲しい」
俺は竜巻のもとに向かった高町 なのはを見つめながら、アマネに頼む。
現場に行くことはできない。
魔法を使って戦うことできない。
だけど、俺にできることがあるはずだ。
《了解しました。 レイジングハートと直接連絡をとります》
俺は鉛をまとったような重みを持つ身体を無理やり起こし、テーブルに置かれたアマネに手を伸ばした。
「高町、聞こえるか?」
《っ……小伊坂、君!?》
「ああ」
《い、い
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