第九幕その十三
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「謙信さんは正義を信じて戦っていたけれどね」
「それでいて寛容な人だったんですか」
「無闇な血を好まないね」
「正義を信じるからこそ残酷な人もいましたが」
「敵に対しては」
「それが出来た人だから」
謙信さんはというのです。
「凄いね」
「そうした人は本当に立派ですね」
「己の責務を常に頭に置いて毅然として戦っていたんだ」
「残酷なこともしないで」
「そして戦えば必ず勝つ人だったんだよ」
「そう聞くと格好いいですね」
「そうだね、だから新潟では今も英雄なんだ」
あの県のというのです。
「甲斐、今の山梨の武田信玄さんとも激しく戦ったよ」
「信玄さんは僕も聞いています」
「あの人も格好いいね」
「山梨から来た友達が熱心に話していました」
「地元の英雄だからだね」
「戦に強くて政治も立派で家臣達をよくまとめていた」
そのお友達は信玄さんをこう言っていたというのです。
「凄い人だったって」
「山梨では今も英雄で」
「もう熱く語っていました」
「日本はそうした英雄が多いみたいだね」
「それぞれの場所のですね」
「うん、兵庫にもいるしね」
「戦国大名がですか」
「ここは黒田官兵衛さんがいたね」
先生はこの人の名前を出しました。
「領地は九州の方に移ったけれど」
「ええと、豊臣秀吉さんの軍師だった」
「そう、あの人は播磨今の兵庫県の出身だからね」
「この兵庫の英雄ですか」
「そうなるよ、あと江戸時代だと赤穂だね」
「赤穂浪士ですね」
赤穂と聞いてです、トミーもすぐにわかりました。
「あの人達ですね」
「英雄、ヒーローかな」
「忠義のですね」
「そのヒーローになるかな」
先生は英雄とヒーローを分けて言いました、この時は。
「あの人達は」
「そうなりますか」
「どちらかというとね」
「四十七士はヒーローですか」
「僕はそう思うよ」
「英雄とヒーローの違いって何?」
「何かな」
動物の皆はそこに考えを及ばせました。
「一体」
「日本語と英語の違い?」
「それだけじゃないの?」
「そうなんじゃ」
「いやいや、ヒーローは勧善懲悪というかそうした感じでね」
先生は動物の皆にお話しました。
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