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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第六十一話 密謀
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う事だ。因果応報だな、リヒテンラーデ侯。もっとも本人はある程度覚悟の上だろう。
「ではリヒテンラーデ侯は軍と手を組んだという事かな? 君は以前、それならブラウンシュバイク、リッテンハイムを抑えることも可能だと言っていた」
レベロ……。こいつは財政家としては有能なのかもしれないが、この手のパワーゲームについてはセンスゼロだな。道理で原作じゃ酷い事になったはずだ。
「それも有りません、カストロプの一件で軍は一千万以上の戦死者を出しているんです。おまけにミュッケンベルガー元帥は責任を取って退役、クラーゼン元帥は戦死です。この状況でリヒテンラーデ侯に協力できると思いますか? 無理ですよ。何より帝国の宇宙艦隊は精鋭部隊を失っています。今現在、軍がブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯を敵に回してまでリヒテンラーデ侯に協力するとは思えません」
「軍が優先するのは宇宙艦隊の再建だろう。この上戦力を磨り潰すような事はしたがらない筈だ」
シトレが低い声で俺の考えを支持した。もっともピザを食べながらだ、行儀悪い。だから会議には一口サイズのサンドイッチの方が向いているんだ。
「となるとエルウィン・ヨーゼフの即位はブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯が皇位を望まなかったから、君はそう思うのだね」
「その通りです、国防委員長。エルウィン・ヨーゼフはリヒテンラーデ侯という極めて弱い後見人に担がれた皇帝なんです。リヒテンラーデ侯も仕方無く彼を担いでいる。ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯は何時でも彼らを排除することが出来ます……」
トリューニヒトが頷いている。他のメンバーも驚いたような表情はしていない。レベロも納得したような表情だ。或る程度見当はつけていた、ただ確証が無かった。そんなところか……。
「彼らがそれをしないのは……、今後の帝国統治に自信が持てないから、かね」
窺うようにホアンが問いかけてきた。皆の視線が俺に集まっている。
「おそらくはそうでしょう、それ以外に彼らが躊躇う理由は無いと思いますよ」
俺が頷くと周囲から溜息が漏れた。帝国の内情が予想以上に酷いと認識したのだろう。
「現状は理解した。我々も大体そうではないかと思っていたが、君と話をして確信が深まった。帝国は混乱しつつある、我々にとって悪い状況ではない。ただこの混乱がどう動くのか、我々はどう動くべきなのか、君の考えを聞きたい」
トリューニヒトが珍しく生真面目な表情を見せた。明日は雨だな、洗濯は明後日だ……。
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