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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第六十一話 密謀
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がら微かに目で何かを話し合っている。こいつら、既にある程度話し合っているな。これが最初と言う訳じゃない。

「先ず現状を確認しましょう。本来ならエリザベート・フォン・ブラウンシュバイク、サビーネ・フォン・リッテンハイムのどちらかが女帝になるはずでした。その過程で帝国内で内乱が起きる可能性が有った……」

「そうなれば良かったんだがな。しかしエルウィン・ヨーゼフ二世が即位した。内乱は回避された……」
レベロが探りを入れるように呟いた。口の周りが油でギトギトしている。レベロ、髭にミートソースが着いているぞ、ナプキンで拭えよ。

「エルウィン・ヨーゼフ二世が即位した、いや即位できた……、考えられる可能性は二つです。一つはブラウンシュバイク、リッテンハイム両家に匹敵する有力者が後見に付いた。或いはブラウンシュバイク、リッテンハイム両家が皇位を望まなかったか……」
俺の言葉に四人がそれぞれの表情で頷いた。

「今回の場合はどちらか……。まず、有力者が後見に付いたと仮定した場合ですがエルウィン・ヨーゼフ二世の後見についているのはリヒテンラーデ侯だと思われます」
「待て、それ以外の有力貴族が後見についている可能性は無いか」

「有りませんね、レベロ委員長。もしそうならリヒテンラーデ侯は既に失脚していますよ。後見に付いた有力貴族はそうすることで国内の不満を多少なりとも抑えようとするでしょう」
レベロが唸り声を上げた。

おそらくそれに反対する貴族は居ないはずだ。そして国内の不満が収まったと見ればブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯は皇位を望むだろう。つまりエルウィン・ヨーゼフの後見に付くにはブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯を敵に回せるだけの力が要る。とてもじゃないがそんな貴族はいない。

今時点で両者がリヒテンラーデ侯を粛清しないのは何故か? 考えられる理由は一つだ、リヒテンラーデ侯を粛清するだけで国内の不満が収まるかどうか確信が持てない、それだろう。

つまり帝国内部はかなり不安定な状況に有ると見て良い。そしてリヒテンラーデ侯を粛清すれば次に矢面に立つのは粛清した人間になる。ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯の両者はリヒテンラーデ侯粛清後の帝国の舵取りに自信が持てずにいる……。

不満を抑える方法は有るのだ、国内の政治改革を行えばよい。平民の権利を拡大し貴族達の権利を抑制する。だがそれをやれば貴族達の反発は必至だろう、やらなければ平民達の不満が少しずつ臨界点に近づいていく。ブラウンシュバイク公もリッテンハイム侯も身動きが取れずにいる……。

だがそれも今だけだ。どう動くかは別としていずれは彼らは動かざるを得なくなる。そしてその時がリヒテンラーデ侯の最後だろう。今度はリヒテンラーデ侯が帝国を守るための犠牲になるとい
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