第49話 水面下の崩壊
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無理して離さなくてもいいけど今度からは気を付けてよね」
現生徒会長の絵里に言われては頷くしか選択肢が出てこない。
9人の蛇に睨まれながらちらりと横に視線を向けると、そこには綺羅ツバサが腹を抱えてこっちを指さして笑っている。
「ねぇ大くん?」
「あ、あぁ穂乃果……なんだ?」
「何か、あった?」
俺がみんなと離れたところを狙って、穂乃果が耳元で囁く。
正直、さっき起こったことをすべて話すべきか、そうでないか迷った。もし話せばみんなは間違いなく相談に乗ってくれて解決策を考えてくれるだろう。痛みも喜びも共に分かち合う、彼女らは決して口にはしていないけど、心で繋がっている。だから苦しんでいる仲間を見捨てたりはしないだろう。
だけど、これは俺の問題だ。それに未遥は穂乃果だけを敵視しているわけではなく、あの様子からしてμ`sそのものを憎んでいる。仮に穂乃果だけー、誰かだけ―、なら話し合って策を施せる。だけどみんなが対象となっている以上守るのではなく、未遥を説得し、攻めるしか見いだせない。
それに、俺の根っこの部分が叫んでいる気がする。
『二度と穂乃果を傷付けさせてはいけない』と、脳が、心が叫んでいる。
つまりは、これは俺の戦い。μ`sにはμ`sの戦いがあるのと同じように、俺には俺の戦いがある。命を懸けなければならない。
「大くん?」
「あ、いや……なんでもないよ。ただ」
だから俺は話さない。守るために……俺がちゃんとけじめをつけるために。
「穂乃果は……俺が守るから」
「……え?」
そう言い残して、俺はみんなのところに足を運ぶ。
何もなかったかのように、本音を塗り固めて、自ら瓦解していかないように。
「よし!!ひとまずライブも終わったんだ、帰るぞみんな!!」
……東京ブロック予選、無事終了
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