第49話 水面下の崩壊
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ていたけど……最近信じられなくなっちゃったんだよ。幼少期の大地君を話を聞いただけで実際隣にはいなかったわけだし。なんで私が大地君の幼馴染じゃないんだろうって悲しく思った時もあるんだよ」
「お前……」
「私もね、狂ってるなって思うよ」
「ならどうして────」
「だって……」
すぅっと、俺に絡みついていた腕を離し、未遥は離れる。
さっきまでの嫌な雰囲気を漂わせつつも、どこか上機嫌な彼女はトントンと片足でとびはねる。どうしてこんなにも年相応な少女なのに……
足がすくんで動かない。
手が恐怖のあまりかじかんで震えている。嫌な脂汗が全身を駆け巡り、Tシャツに染みていくのがわかる。
思えばあの時────俺の家でキスをし、電話を奪うという言動が既におかしかったのだ。いくら変な奴だとはいえ、そういった人の気持ちを考えずに強引にしてくるなんてありえないのだ。
「(俺が……未遥を変えたのか)」
と、未遥はそのままピタリと足を止める。首だけぐるりとこちらに向けてにんまりと笑って彼女は言った。
「だって……私の大地君を奪った高坂穂乃果が憎くて憎くて、殺したいくらい憎いんだもん」
「お前……」
「今日はもう遅いし、このまま帰るよ。またね、私の大好きな大好きな……大地君」
にんまりと淀んだ笑みを浮かべたまま、彼女は手を振る。
止めないといけない。止めなければこのまま未遥は本当に穂乃果を襲いかねない、でも。
「(俺に……なにができるんだ)」
遠ざかる彼女は、次第に大きく見えてくるようでもあった。
これは俺の責任。俺が何とかしなければ……
あまりにも彼女の変貌に、気づくのが遅すぎた。
〜☆〜
「貴方は一体何をやっているのですか!」
「だから悪かったって言ってるだろ!仕方ないだろちょっと用事があったんだから!」
「でも急にいなくなるのは……不安になりますよ?」
「う、ぐ……それを言われると反論できない」
なにはともあれ、遠ざかる未遥の背中を見届けた後、UTXに戻ってきた矢先に海未に迫られたり、花陽を不安にさせるという事後処理に明け暮れていた。
そもそも未遥を見つけた瞬間に足が勝手に追いかけていたのだから、その場から離れることを誰にも告げていない。つまり怒られて当然である。
「どこ行ってたのよ。閉会式もほったらかしにして」
「んまぁ……ちょっと、野暮用がだな」
「言いたくないなら
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