第49話 水面下の崩壊
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を見てくれないから!!変わったのは大地君なんだよ!!!」
激昂を露わにする彼女を見るのは初めてで、思わず一歩後ずさる。
ただ言ってることも確か。前の高校にいた時は、人と触れ合うのが怖くて自分自身を閉ざし、関わることを拒んできた。そんな中唯一心を開いた子が未遥だ。未遥だけを見ていた……というのには語弊があって、未遥だけを見ていたのではなく、未遥しか見れなかったのだ。
気を許した彼女を見て、人と触れ合うことの魅力を思い出し、もしかすると恋愛の対象として接していたのかもしれない。だけど、それはあくまで一時の話。勿論感謝はしているし、未遥の気持ちをないがしろにしているつもりも毛頭ない。
「……人は変わりゆくもの。これはどうあがいても逃れられない。俺も、未遥も変わっただろ。性格も、関係も!」
「変わってない変わってない!!私は大地君の隣にずっといるって決めたの!!だから大地君も私の隣にいなきゃダメなの!!」
「どうしてそんなに短絡的なんだ!」
俺は呆然としてしまった。
俺が、俺という存在が温厚だった彼女を変えてしまったとでもいうのだろうか。さっきも投げかけたように、人は変わるべくして変わる。それは避けようにも避けられない。だから俺は自分の変化を受け入れた。
未遥と距離が離れてしまった事を受け入れた。
記憶を失っている自分を受け入れた。μ`sのメンバーとして共にラブライブ!を目指すことを受け入れた。その受け入れる、という変化が、自分の新たな前進だと信じてきた。
だけど、今ここで俺の変化を嘆いている彼女はどうだろうか……?
過去の関係に縋り付き、相手が望んでもいないのにそれを強要する。実に身勝手に他ならない。もし相手が未遥じゃなかったら、俺は前の────頑固絵里へ向けたように言葉を並べていただろう。
でも、相手は未遥だ。
これでも心を許した女の子で彼女の事を一番理解しているつもり。故に俺の心のどこかで『更生の余地がある』と信じているから。
「……もう一度聞く。どうしてあの場に、観客席に君はいたんだ!『アイドルに興味ない』って言ってた君が!どうして!」
「……」
「なぁ、答えろよ!!」
「好きだからだよ」
「なに?」
俺の問いに即答した彼女の瞳には────光が無かった
初めて彼女に対して恐怖という感情を覚えた。何の迷いも無く即答したことにではない。『好きだからだよ』というたった7文字の中に様々な感情が含まれている気がしたからだ。
「大地君のことだから全て知りたいの。μ`sという雌豚どもをどんな顔で見ているのかなって。笑っているのかな?驚いているのかな?楽しんでいるのかな?って。私の知らない大地君はいないって思っ
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