第49話 水面下の崩壊
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大地君の家で……彼のスマホを敢えて通話中にしていたのはこのため。
話の内容から察してμ`sの一人ということだけはわかっていた。だから敢えて繋げて、絶対大地君が彼女らに話していないだろう記憶喪失の話題を振った。
これで少しは関係性にヒビでも入れば────そんな考えがそもそも甘かったと気づくのに時間がかかってしまった。
既に彼の心の支えとなっているμ`s。
どういった経緯で親密な関係になったのかは知らないし、知ったところで虫唾が走るだけ。とくにリーダーの高坂穂乃果。彼女にだけ見せる大地君の感情はもはや恋愛のソレ。
調べてわかったことは大地君の幼少期の近所絡みの幼馴染で今はスクールアイドル”μ`s”の創設者兼リーダー。そして……
────七年前の事件の被害者の一人。
私は、知ってしまった
私が調べて得た情報は間違いく事実で、これが嘘偽りないものであるのは確かだ。
であるのなら……
「高坂穂乃果は大地君の隣にいていい人間じゃない。いちゃいけないんだよ」
そう。
高坂穂乃果という女の子はあの事件で大地君を苦しめるきっかけを創り出した張本人。自分の犯した罪から目を背け、記憶の無い大地君をうまく言い包めて利用し、まるでそのことが無かったかのように接している。
そんな女が、守ってくれた彼の隣にいていいはずがない。
「おい待てよ!!」
「!!っ」
声が聞こえた。
それは私の背後から聞こえてくるようでもあり、遠くから聞こえてくるようでもあり、正面から聞こえてくるようでもあり、耳元で囁かれるように聞こえるようでもあった。
ベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャ……。
その声を遠ざける様に、夜の街中を行き交う人から発せられる音が私の耳にめり込んでくる。
ベチャベチャ、と耳障りな雑音が神経を通って脳髄へと響き、そのまま頭痛へと変わる。
「……ぁ」
「はぁ、はぁ……お前、なんで、ここにいるんだよ」
「……わざわざ走って私の事を追ってくれたのかな?もしそうなら嬉しいな」
「誤魔化すな。なんであの場に君がいるんだよ未遥!」
「……」
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