379部分:第三十話 典韋、曹操に試されるのことその十一
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第三十話 典韋、曹操に試されるのことその十一
「ステーキだな」
「ああ」
「それかすき焼きだな」
「シェラスコでもいいんじゃないか?」
別の世界から来た面々はその落ちてきた牛を見てそれぞれ言う。
「じゃあ食うか」
「後でな」
「それはまた後の話でね」
曹操はそんな彼等を見て話す。
「典韋」
「はい、何でしょうか」
「その怪力と料理の腕見事よ」
こう言うのだった。
「丁度料理を語り合える相手も欲しかったし季衣の親友でもあるし」
「また一緒に遊ぼうよ」
「そうよ。私のところに来て頂戴」
許緒と共に言う曹操だった。
「どうかしら、それは」
「あの、私まだお店が」
「わかってるわ。それじゃあその話はそっちでしてね」
「そうしてですか」
「御願いするわね」
「は、はい」
こうしてであった。典韋も曹操の配下になることになった。そうしてであった。
劉備達はあらためて旅をはじめることになった。曹操が彼等を見送る。
「ところで噂だけれど」
「はい?」
「何か私の領内に不気味な男が二人徘徊しているそうね」
「あっ、若しかして」
ここでふと思い出した劉備だった。
「昨日か一昨日に擦れ違ったあの?」
「間違いないですね、あの人達です」
孔明が顔を青くさせて言う。
「絶対に」
「知ってるのかしら」
「知ってるというかちょっと街で擦れ違ったんです」
孔明はこう曹操に話す。
「一人はピンクのパンツに辮髪の人で」
「辮髪ね」
「もう一人はお髭に褌の人で」
「変態なのかしら」
「多分」
孔明もその可能性を否定しなかった。
「そうだと思います」
「そう、わかったわ」
話を聞いて頷く曹操だった。
「何者かわからないけれど警戒が必要ね」
「ところで曹操さん」
馬岱が曹操に尋ねた。
「お姉様が見えないんですけれど」
「ああ、馬超ならね」
「はい」
「今夏侯惇と槍の手合わせをしてるわよ」
こう馬岱に話すのだった。
「だから今はね」
「そうなんですか」
「もう少し待ってね」
微笑んで馬岱に話す。
「馬超も欲しかったりするけれど」
「あの、曹操様」
「今度は馬超殿ですか?」
曹仁と曹洪は今の主の言葉に困った顔になる。
「私達もいますし」
「ですから」
「それでもよ。やっぱり奇麗で優れた娘は好きなのよ」
曹操のこの嗜好は変わらない。
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