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Muv-Luv Alternative 帝国近衛師団
第八話
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話題切り替えに萩閣は内心で驚いてはいたが、黙って成仁の話を聞いていた。
「……そこにこう書いていました。『早く任官し、戦場に出たい。自分の使命と陛下の御心を成したい。無論戦術機ではなくお前が造ったモビルスーツで』……萩閣さん、僕は怖いんです」
「何が、怖いのですか」
「兄たちが、その友人たちが、死ぬこと………僕が、僕たちが造ったモビルスーツがBETA相手に通じるのか、そして人類は本当に勝てるのか……」
「………殿下、正直に申しますと小官には答えられません。申し訳ありません」
そう言いながら萩閣は頭を下げた。だが言葉は続く。
「しかしながら成仁殿下がお造りになられているモビルスーツは、BETAに通じると確信しております。今ここにありまするYMS-03は雛です。これから成長し、人類に勝利をもたらす、そう小官は思っております。ここにいるすべての人間が恐らく小官と同じことを思っているでしょう」
そこで頭を上げ成仁の顔を見た。今にも泣きそうな表情となっている。
「ですから殿下、自信を持ってください。そして信じる道を進んでください。兄君やそのご友人方を信じてください。彼らならモビルスーツを自由自在に使いこなし、BETAを殲滅すると」
そこまで言うと、成仁は萩閣に背中を向けた。そして右腕で顔をゴシゴシとしている。それが終わり、振り向いた。そこには若干目が赤くなっているが晴れ晴れとした表情があった。
「そうします!」
「これより機動実験を開始します。ジェネレータ起動」
「ジェネレータ起動。出力正常値」
「歩行開始」
《了解。歩行を開始する》
ゆっくりとだが戦術機と比べるとより人間に近い動きで歩き始める単眼の巨人。
「スピードアップ」
《了解》
巨人は徐々に歩みを速めていき、最終的には陸上選手のような走り方になっていった。
「各部負担規定範囲!」
「流体パルスシステム正常に稼働中」
次々と報告が上がってくる中、成仁はそれらの言葉を頭に入れながら、テストパイロットに新たな指示を出す。
「ブースター噴射」
《了解》
巨人の背中にランドセルのようにくっ付いているバックパックから炎が噴き出す。そして17メートルを越す
巨体が宙に浮き、飛翔した。
見る者が見れば戦術機の飛行と比べれば蝶と鳥程の差があるように見えるだろう。しかし巨人を操るテストパイロットは驚愕していた。この場にいる軍人も驚愕していた。驚いていないのは巨人を創り上げた者たちだけだ。
推力が違いすぎるのだ。テストパイロットが今簡単に計算してもF-4J撃震の二倍以上の数値を叩き出している。そして航空力学を無視しながら莫大な推進力によって巨人は飛翔し続ける。
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