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Muv-Luv Alternative 帝国近衛師団
第八話
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……そうだな。明日はクラス対抗戦だったな」
「山城の奴、絶対正仁だけを狙ってくるぜ」
「それはもう仕方がない事かと……」
「何だろう、明日が嫌になって来たんだが………まあ、最終的には我々が勝つがな」

 そう自信ありげに言うと、全員頷いた。

「真衣がいるからな」
「月詠がいるからな」
「月詠殿がいますからね」
「月詠さんに勝てるわけないだろ」

 彼らにとって月詠真衣は、味方であれば最も頼りになる存在であり、敵であれば最も相手をしたくない存在なのである。







 六月一日 北海道 日本帝国陸軍 矢臼別演習場にて


 成仁の目の前に広がるのは帝国最大の演習場の北の大地。自然豊かなこの大地にはひどく不似合いな、鋼鉄の巨人とそれを囲うように設置された機材、その機材を操る人と重機とMWだった。

「こんなに早く機動実験ができるなんて思いませんでしたね」
「ええ、全くです。これも殿下のお陰ですな」

 下から聞こえてくる声に何の反応も示さず、目の前の景色を見つめていた。
 興奮しているのか、悲しんでいるのか、それとも悩んでいるのか、何とも感情が読み取りずらい表情となっている。

「ここに居られましたか、成仁殿下」

 横から自分を呼ぶ声が聞こえそちらを向くと一人の軍人が立っていた。

「彩峰大佐……」
「どうなさったのですか?みな心配しておりますよ?」
「………」

 そう言われ無言になる。怒ったのではない不機嫌になったのでもない。そして二人の間に沈黙が流れ、聞こえてくるのは、重機やMWの駆動音とそれに負けない様に張り上げる作業員の声だけ。

「………勝てるのでしょうか」

 沈黙を破ったのは成仁だった。小さい声で呟いたが、萩閣にははっきりと聞こえていた。

「……BETAにですか?」
「……うん」

 萩閣はすぐには答えれなかった。BETAは恐るべき相手であり、戦わなければ文字通り人類は絶滅することはわかっている。軍人として国を守り人を守る、そのために戦わなければならない。
だが勝てるか、と問われれば口がごもる。月を失い、ユーラシア中央を失い、欧州の大半を失い、敗走を続ける人類が勝てるのか?

 萩閣は自分が情けなくなった。こんな幼い、たった十二歳の少年が本気で人類の明日を思い悩んでいるのだ。本来、大人である自分たちが解決しなければならないことを悩んでいる。無力に等しい自分に腹が立った。

「兄ちゃんから昨日、手紙が来たんです。……兄ちゃんは友人の女の子に勝てないそうです。レグルス兄ちゃんはその人が好きで好きでたまらない様で、毎日出会うたびに求婚しているようです。あと斑鳩家の長男とも何だかんだで仲良くやっているようで、嬉しかったです」

 突然に
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