MR編
百四十八話 暴飲、暴食、そして歓談
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リである。二人とも幸せそうな表情で串にささった肉にパクパクとかじりつくと、結構なスピードでそれを咀嚼、嚥下していく。二人とも口は小さいのに、よくもまぁこうも食べる物だと、一通りの食事を終えて腹が膨れているリズは苦笑した。
「二人とも、どうせなら野菜も食べたらどう?」
そんな卓に、アウィンことヤミが皿を以って歩み寄ってきた。並んで食べるシリカとアイリの対面、リズの隣に座ると、苦笑しながら数種類の野菜を乗せた皿を差し出してくる。
すると肉を食べる手を止めた二人はしかし、あからさまに嫌そうな顔をした。
「う、野菜ですかぁ?」
「えー、こんなにお肉あるのに……」
「あら、野菜だっておいしいわよ?」
明らかに嫌そうな態度を示す二人に、ヤミは憮然とした態度で皿を押し出す。と、二人が綺麗に揃って身を引いた。それを見て、いよいよ彼女は目を細めた。
「ふぅん?」
「えっ?」
「あっ」
その反応に、シリカが頭に疑問符を、アイリが引き攣った顔をした。あからさまな反応の違いをリズがいぶかし気に見ていると、唐突に横に居るヤミがキョロキョロと周囲を見回し始めた。
「?どしたの?」
「んー?別に、何処かにおいしそうに食べそうな子は居ないかと思って……あぁ、君!テッチ君!ちょっと来て頂戴!」
「?うす」
ヤミが呼び止めたのは、ターキーを食べながらウロウロしていた大柄なノームの青年、テッチだった。ヤミたちのテーブルの横まで来た彼は、女子ばかりのそのテーブルになぜ自分が呼ばれたのか分からないらしく軽く首を傾げる。
「貴方、野菜は好き?」
「え?」
「野菜よ、好きなの?嫌いなの?」
ヤミの、有無を言わせないその問いに、たじろぎながらテッチは頷いた。
「え、えーっと、どちらかと言えば、苦手っす」
「そ、結構よ。じゃあ……」
言いながら、ヤミは手元からシリカたちに差し出していた皿を持ち出して、今度はテッチに差し出す。そして……
「このニンジンを食べなさい」
「え」
皿の上に乗せられた、輪切りにされた焼きニンジンを指さした。様子を見ていたリズが流石にポンポンと肩を叩く。
「ちょ、ちょっとヤミ、いくらなんでも、苦手って言ってる相手にそれは……」
「ちょっと苦手なくらいの子じゃないとダメなのよ。さ、食べて、大丈夫よ、絶対おいしいわ、賭けても良い」
「いや、でも」
「食 べ て ?」
「う、うす……」
笑顔で、しかし一切の反論を許さないその語調に気圧されるように、結局テッチはニンジンに手を出した。
手に取った少し厚めのそれを、口に運んで、咀嚼する。
「…………」
困ったようにその眉尻を下げて、細目の青年はパリポリとニンジンを咀嚼する。その様子を固唾を飲んで三人の少女が見守る中……
「……?」
彼は
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